Beast



カモメ


暖かな太陽が輝く昼下がり…




ルフィとゾロは甲板で仲良くお昼寝中。

穏やかなカモメの声と優しい波の音。

と、


ぐぅー

ルフィのお腹が間抜けに鳴いた。


「んん…おなか、すいたぁ…」

まだ眠そうなおめめを擦って、ルフィがむっくり起き上がる。
ふわふわとした頭で周りを見渡して、隣で眠るゾロを見ると、嬉しそうに微笑み…


ちゅっと口付け。


「食べ物探してくるだけだからな?浮気じゃないからな?」

待っててね?と緑の髪を撫でると、ルフィはそっと立ち上がる。




キッチンへ行っても、鍵付き冷蔵庫は開けられない。

ナミにお願いしてミカンを分けてもらおうかなー、なんて考えながら、ルフィは甲板をウロウロ。

すると…


クワー

近くでカモメの声がする。


「ん?鳥…?」
ルフィが小首を傾げる。


もう一度…

クワー


トコトコと声がする方に歩いてみれば、そこは丁度、ゾロが寝ているの芝の上。


「ダメだぞっ!ゾロはお昼寝してるんだからっ!シィッ!」

ふっくらと膨らんだ唇に人差し指を添え、ルフィがカモメを見つめる。

カモメもルフィの真っ黒な瞳を不思議そうに見返して…


2人で体を丸めて、じっと見つめ合う。




突然、ルフィがクスリと笑って、
「にらめっこしてるんじゃないんだぞ?」
と柔らかな両手を広げる。


「おいで…?」


優しい声で迎えてみれば、パタパタと羽音がして、ルフィの肩にちょこんとカモメが一羽。


「お利口さん。」
ルフィはカモメをそっと撫でてやる。

「今な、ゾロ、お昼寝中だから、一緒に遊ぼっか?」


カモメが小さくクワーと鳴いて、ルフィが差し出した指にちょんと移る。

「ゾロに言ったら、きっと怒るから秘密な?」

そっと桃色の唇がカモメの背に触れて………






バサバサと騒がしく羽音を響かせ、カモメが海へと消えていく。

「誰に、秘密?」


まん丸な瞳が、大きくぱっと見開かれて…

「ゾ、ロ…?」


背中を、ぎゅっと、苦しいぐらいに抱きしめられる。




「浮気しないって、嘘?」
ゾロの意地悪な声が首へとかかる。

「ちがっ…」
慌てたようにルフィがゾロへと振り返れば…


くるりと体が一回転…

そして……


少し強引なキス。




「ゾロ…」
涙で潤み始めた瞳にゾロが映る。
「おれ、は…」


そっとゾロの手がルフィの後頭部を支えて、自らの肩へと押し当てて…

「知ってるよ。ルフィにとって、俺は一番…だろ?」

ゾロの言葉にこくこくと頷いて、ルフィが不安げにゾロを見上げる。

「うん、ゾロが一番。ゾロじゃなきゃ、やだっ。」


ルフィの長い睫がふるふると震えて…

「ゾロ……怒って、ない…?嫌いになんない?」

ルフィの瞳は怯えたように揺らめいて…

それは、まるで真夜中の海のように魅力的で……


ゾロがルフィを優しく見つめて…

「ずっと、愛してやるよ。」


真っ白な額に口づけして…

そっと細い体を抱き締めて……






少しでも嫉妬した自分が
なんだか恥ずかしくて…

こんなにも
想ってくれる可愛い人が
愛おしくて堪らなくて……

あぁ、出来ることなら…


ふたりきりで、
飛び去ってしまいたい……










/カモメのように大空を飛べたとしても、私は貴方の側にいたいの…。
09/04/01
(和吉様「動物好きルフィと嫉妬ゾロ」)


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