Beast



バレンタインナイト*


真っ暗な部屋に月明かりが洩れて……

白い肌と甘い吐息が照らされて……




「ゾ、ロ……?」
見上げた先には、愛する深緑の美しい瞳。

「ルフィ…」
見下ろすベットから、黒く濡れた視線が返ってきて…




「愛してる…」
と柔らかな唇を塞ぐ。

いつもとは違った特別な…
深くて永い、大人のキス……

ふわりと先程食べた、チョコレートの甘い香りがし、頭の中をゆっくりと溶かす…
細い腕がこわごわ延びて、しっかりとした首に回されて、もっと、と言うように更に唇が押し付けられる。

銀色の糸を引き、二人の唇がそっと離れる。

「ゾロっ…」
ルフィが泣きそうな瞳で、ゾロを見上げ、
「もっと、キスっ…」
と可愛い、いつもの声でねだる。
「ゾロのキス、もっと欲しいっ…もっと、もっと、ちょうだいっ」
艶やかな唇がふるふると震えて…

「ちゃんとやるから、ちょっと待ってろ…な?」
とゾロがベットからゆっくりと離れる。

「やだっ」
そんなゾロの背中にルフィが抱きついて、
「待たないっ、おれは…ゾロのキスが欲しいんだっ」
と大きな背中に自分の顔を押し付ける。


ゾロは背中のルフィを見つめ困ったように微笑むと、優しく頬を撫で、抱き上げる。
「甘えん坊だな…今夜のルフィは…」
と桃色の唇にキスをする。
「今日はいっぱい愛して、いっぱいキスしてやるからな?」
と耳元で低く、甘い声で囁く。

「うん、いっぱい愛して、いっぱいキスしてっ」
すりすりとゾロの胸にルフィが頬擦りをする。


そんな可愛い小さな恋人を見つめて、ゾロは愛おしそうに微笑んだ……



ベットルームの小さな棚の上、リボンのかかった真っ赤な箱を取るとベットに戻る。

「なに?」
ルフィがゾロの膝に座り尋ねる。
「開けてみて?」
ゾロの顔は月明かりに照らされて、いつもより魅力的。


ふわりと甘い香りがして、中から丸いチョコレートが5つ。


「可愛い、チョコっ…」
ルフィの瞳がキラキラ輝いて
「くれるの?」
とゾロを嬉しげに見上げる。

「さっき、ルフィもくれただろ?だから、お返し。」
ゾロがそっとルフィの髪を撫で微笑む。

「ありがとう」
とルフィがゾロの鼻にちゅっとキスする。


「食べさせてやるから、口開けて?」
ゾロが小さなチョコレートを摘んでルフィに見せる。
ルフィが恥ずかしそうに控えめに口を開く。


と……




ゾロが摘んでいたチョコレートを自らの口に入れ、そして、かぷりとルフィの唇に噛みついたのだ。


驚いたようにルフィの瞳が開き、んんっと鼻にかかった声が洩れた。
抵抗しようと伸ばした腕は、無意識にゾロの背中に回されて……






「なんで、キスしたのっ」
ルフィが真っ赤な顔をしてゾロを見上げる。
「ゾロの意地悪っ」
そんな瞳はウルウル揺れて……

「ルフィがキスしろって言ったんだろ?」
とゾロが悪びれることもなく、笑いかける。

ルフィは更に真っ赤になって、俯いて…




「なぁ、ルフィ…」
ゾロの濡れた声が響いて…

「あと、4つもチョコ余ってるんだけど…?」
ルフィの背中がベットに沈む…


ルフィが小さく身震いをして、きゅっと瞳を瞑る。


「どうしよっか?ルフィ…」
ゾロの温かくて大きな手のひらが白い太股をすーっと撫でて………






「4つ、だけっ…?」
可愛い声が震える……

「4つ、だけ、なの…?」
真っ黒な瞳がみるみる潤んで…




「もっと、ゾロの愛、欲しい…」
ホロリと涙が零れた……








愛おしいお前に


たくさんのキスをやろう

温かな想いをやろう

甘い甘い時間をやろう




抱えきれない程の
俺の愛をあげよう……










/甘くほろ苦いキスをして…もっともっと愛してほしいのよ。だって今夜は特別な…バレタインナイト。
09/02/14


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