Beast



カーディガン*


まだ肌寒い帰り道……


「なぁ〜ゾロ…」
ルフィがゾロを見上げて、白い息を吐く。

「ちょっと付き合って…?」








ルフィがゾロを連れてきたのは、ルフィお気に入りの服屋。

「…何買うんだ?」

ルフィの手を握ったゾロがそっと尋ねる。

「カーディガンっ」
ルフィが店の一角を指差し
「みんな着てるし、おれも欲しいっ」
とにっと笑う。

「まだ、寒いしな。」
と微笑んで、ふたりは様々なカーディガンが並ぶ棚へと足を運ぶ。




「何色がいい?」
ルフィがきらきらとカーディガンを眺める。
「おれ、ゾロが好きな色がいいっ」


ぱっと見上げる瞳がぱちばちと瞬き、可愛くにっこりと笑う。

その顔があまりにも愛らしくて、不覚にもゾロはどきっとし、少し頬を染め…


「なんで俺が選ぶんだよ…」
と黒髪をくしゃりと撫でた。

「お前のだろ?」
とまん丸な瞳を見つめ…




すると…

「ゾロが幸せだろ?」
とルフィが若草色のカーディガンをぱさりと手に取り、
「たとえば……」
と自らの胸元に当てる。

「ゾロがこんな緑が好きで、これをおれが着てたら…」


ルフィが溶けるように甘く笑って……


「ゾロから見えるのは、好きな色と大好きなおれだけだっ」




あまりにも可愛くて、愛おしくて……




「自惚れんなよ…」
と白い額にキスを落とす。


しし、と嬉しそうに笑うと
「でも、ゾロ、おれのこと大好きだろ?」
とたくましいしっかりした腕にぎゅっと抱きつき、からかうようにルフィはゾロを見上げる。




ゾロは棚に置かれたグレーのカーディガンをルフィにそっと押し付け…

「すき。」
と囁く。

「ゾロ…」
ルフィの瞳が揺れて…




そんなルフィの可愛い顔を見て、ゾロはとても意地悪な顔で

「この色が好き。」
とニヤリと笑い、ルフィの胸元に押し付けたカーディガンを指差す。



ゾロの言葉を聞き、ルフィが顔を真っ赤にし、
「ゾロの意地悪っ」
と柔らかな唇を尖らせる。






ルフィの頬に大きな優しい手が添えられ…
尖らせた唇にそっと唇が引き寄せられて…





「どんな色だって、好きだ。」

耳元で深く低い声が響く……


「お前が着るならなんでもいいよ。どんな物でも、お前のもんなら、俺はすきだ。」

ぎゅっと抱きしめて微笑みあって……








ふたりでお揃いのカーディガンを買って…

また、明日ね?

とキスをした………










/居眠りする君の肩に、そっと温かな想いとカーディガンをかけて…
09/01/28
(2000hitフリー小説)
09/02/07
(配布終了)


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