Beast



蒼い月*

(一応R15)


まるで作り話のようで……




近頃、大きなプロジェクト前で帰りが遅くなる。

新婚でもあるのだし、愛するハニーのために、早く帰りたいと願うが、

仕事は仕事で…






帰宅し、ゆっくりと夕飯を食べ始めたのは、とうに11時を過ぎてから…



「なぁ…ルフィ、」

目の前で同じように夕飯を食べるルフィを、ゾロは心配そうに見て

「冷蔵庫にあるチャーハン、温めて先に食べとけって言っただろ?」



その言葉を聞いてルフィが唇をむっとさせる。

「だって…、ゾロと一緒がいいっ」


「そりゃ、俺だってルフィと一緒がいいけど、こんな時間に飯食うと体に悪いぞ?」
とゾロがルフィの大きな瞳を覗いて…


「ゾロの体にも、悪いっ」

ルフィもじっとゾロを見つめる。



「あのな…俺は仕事で…」

ゾロが困ったような顔をする。




すると、ルフィは静かに箸を机に置く。

「ゾロは…」


膝の上で柔らかな拳をぎゅっと握って…




「おれと仕事と、どっちが大事なの?」




静かに見上げる瞳は涙で潤み………




「そんなの、ルフィに決まってるだろ?」

ゾロもパチンと箸を机へ……


「俺はいつだってルフィのこと思ってるし、ルフィが一番で、ルフィの為に仕事に行ってるようなもんなんだぞ。」




ゾロが優しくルフィに手を伸ばす…


パシッ………


が、その手は虚しく宙に弾かれて…






「すきなら、態度に示してっ」

「ルフィ……」




「いっぱいぎゅっとして、いっぱいキスしてっ!」


キッとゾロを見つめる瞳からは、涙がホロホロ流れて…


「毎日、毎日、ひとりぼっち…。お買い物だって、遊びにだって、いつでも行けるけど…」


ルフィは下唇をきゅっと結んで……


「それでも、ひとりぼっちなんだっ!」






こんなに寂しい思いをさせていたのか、とゾロはルフィをじっと見つめる。

仕事なんて、こんなに可愛くて愛おしい人を悲しませてまで、する必要があるんだろうか…

ルフィがいるだけで、ただ幸せなはずなのに………

俺は…………






「もう、いいっ…!」

と黙ったままのゾロを見つめ、ルフィはすっくと立ち上がる


「ゾロなんか、」




と少し言葉を止めて………

とても悲しそうな顔をして……






「大嫌いだっ…」





ゾロの背筋にぞくぞくと何かが走る…

ドキドキと鼓動が早くなって……






気付くと……



ルフィをソファーへ押し倒していて………

「はな、してっ…」

ゾロに掴まれた手首をふりほどこうと、ルフィは体を揺らす。

「ゾロ、やだっ、はなしてっ」






ルフィに少し強引にキスをする。

触れるだけじゃない、

深い深い夜のキス………




ルフィの細い手首をひとまとめにし、大きなゾロの片手がソファーへと押し付ける。
もう一方の手のひらは、荒いキスのために息を乱したルフィの内股を優しく撫でる。


「んん…ゾ、ロ…」

ルフィの濡れた唇が震える。




「ゾロぉ…」

ルフィの瞳から、先ほどとは違う涙が伝う…


「何…?」

ゾロが甘い息を吹きかければ


「うそ、だから…」


とルフィは真っ赤な顔でゾロを見上げ


「大嫌いなんてっ…うそだから…」




ゾロがそっとルフィの手首を離す。

ルフィの腕はゾロへと伸び……


「すきだから、一緒にいたい…。お仕事だって、わかってるけど、やなんだ。我慢できない。したくないっ。だってゾロはおれの大好きな人だからっ。だから、ゾロには、ずっとそばにいてほしいんだっ。」



ぎゅっと抱きついてくるルフィの声が、ゾロの耳元で響いて……






「なぁ、ルフィ…」



片腕でしっかりとルフィを抱きしめ、ゾロがそっと一方の手で、ルフィのズボンのボタンを外す……

へその下辺りを優しく撫でて……


ルフィは、んん、と鼻にかかった濡れた声を漏らし、ゾロに絡める腕に力を入れる


そんな、ルフィが可愛くて、愛おしくて…



「愛してる。」


と囁き、キスをする

今度は甘く優しいキス……




「今から態度で示してやるから…」

ルフィの服の中で、ゾロの温かな手のひらがゆらゆらと揺らめき……


「ちゃんと、感じろよ……」


とルフィの耳たぶをペロリと舐める。




ルフィはふるりと震えると




「ゾロが…欲しい…」




長い睫が揺れて、涙をきらきらと輝かせ……


そっと、ルフィの手がゾロのワイシャツのボタンに触れ……








静かで、冷たい冬の夜……


熱を帯びたふたりの影が重なり……

ソファーが甘い音を立て

軋む……




ふたりを見つめる月の…

蒼いこと、蒼いこと………









/蒼い月が寂しいだなんて、一体誰が言ったの?確かに涙のように綺麗だけど…私には輝く宝石に見えるわ…
09/01/23
(2000hitフリー小説)
09/02/07
(配布終了)


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