Beast



豆まき*




鬼は外、福は内




リビングで嬉しそうに、ルフィが豆を投げる。

豆粒がフローリングに跳ねるパラパラと軽やかな音と、きらきらと笑うルフィの愛らしい声……






「ただいま」
と帰ってみれば、待っていたのは、紙で出来た鬼のお面と、期待に満ちた、可愛い可愛い奥さんの顔。




「ゾロっ、鬼は外、福は内、したいっ」
とぎゅっと抱きついて、ルフィはゾロの唇に、おかえりなさいのキスをする。

「しょうがないな…」
と優しく微笑むと、大きな温かな手が綺麗な黒髪を優しく撫でた。






「鬼は外〜っ」
と小さな拳から飛び出した豆粒はゾロの背に当たる。

「福は内〜」
今度はさっとソファーに隠れる赤鬼さん。

「ゾロっ、隠れちゃダメっ」
ルフィが頬を膨らませる。



ソファーから緑の短髪と赤い鬼の顔が覗いて………

「じゃあ…」

「じゃあ?」
ルフィが小首を傾げ、鬼の隠れるソファーに近づく。




「赤鬼の反撃だ!」


ガバッと立ち上がった、大きな赤鬼さんがルフィに抱きつく。

「うわぁっ!」
油断していたルフィは驚いたように叫び、



気づけばゾロの胸の中…





「捕まった…」
とクスリとゾロを見上げるルフィ…


「捕まえた…」
とゾロも鬼のお面を顔からずらし、にっと笑う。






「ねぇ、キスするから"鬼は外"…ね?」
とルフィがふざけて笑うと

「それは困るな…」
とゾロがお面を頭から外す。

「これでどう?」
と真っ黒な瞳を見つめれば……




「ゾロは内っ」
とルフィがぎゅっとゾロに抱きつく。




可愛いルフィを見つめて…

抱き締め返して…




「ゾロは内、って何?」
とふっと笑って、ゾロが尋ねる。

「そのまんまっ。ゾロは内っ」
ルフィがすりすりとゾロの首筋に顔をうずめて…


「ずっと、おれとお家で仲良くしようねっ」

甘くて可愛らしい声が小さく呟いた。






ひらりと鬼のお面が落ちて……

ふたりの唇が繋がって……




「ルフィ、可愛いすぎ…」
ゾロがルフィの頭を撫でて

「鬼なんて追い出して、今夜はふたりっきりで遊ぼうな?」
なんて、真っ赤な顔のルフィを見つめて、低くて濡れた声が甘く甘く囁く………


「ふたりっ、きり……?」
ルフィが小さく呟いて、



そして、クスリと笑う。




「じゃあ、"福も外"?」






ゾロがふわりとルフィの白い額に口付けし………

「福は、ここにいる…」




ぎゅっと抱き締めて、

抱きしめ返して……


笑って、笑って………………




豆だらけの部屋の中

鬼のお面に見つめられ………




愛を囁いた……










/豆まきをして、ふたりの邪魔者を追い出してしまいましょ?
09/02/03


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