Beast



ジングルベル


雪は降る。しとしと。
「今年のクリスマスは何もらおうかな〜?」
暗い空の下には明るい笑顔。ルフィは甲板で五つめの雪だるまの作成中、呟いた。
「ん…誰にだ?」
横でペタペタ、芸術品を造り出すウソップの質問にルフィは大きな声で答える。
「サンタさん!!」
それを見てウソップがやれやれと言うように白い息を吐くと諭すように言う。
「あのなぁ、ルフィ、サンタさんっていうのは、15歳以上の子供にはだなぁ〜…」
「ゾロ!!」
ウソップの言葉を遮って、ルフィはにこやかに言う。
「今年はゾロ、おれのサンタさんになってやるって…欲しいもん考えとけって言ってた!」
キラキラ光る笑顔は眩しくて、曇っている空を吹き飛ばしてしまいそう。
「ゾロが……ねぇ。」
ウソップは少しの間、考えぷっと吹き出すと
「らしくねぇな。」
とまたペタペタと雪を叩く。
「そうか?」
ルフィは雪玉を転がしながら問う。
「あぁ、ゾロがサンタ…似合わねぇ。」
ウソップは笑うと、よしできた、とまた新しい雪像を造り始める。
「ウソップもなんか頼めばいいのに…」
とルフィはコロコロと大きくなった雪玉を押しながら駈ける。まだまだ雪玉は大きくなる。

「おい、ルフィっ!」
ウソップの忠告も聞かず、氷の上で走ったせいで

ツルンッ!!

と音がしそうなぐらい鮮やかにルフィが滑った。でもルフィの体は冷たい床に倒れることなく……タイミングよく通りかかったゾロの腕の中に収まった。
「はしゃぎすぎだ…。」
とゾロは腕の中のルフィを見下ろし、大きな瞳にかかる前髪をふわっとよけた。
「ゾロ、ありがと。」
ルフィはゾロの腕から抜けると、にっこり笑いお礼を言う。
「気をつけろよ、お前危なっかしいから…。」
とゾロはルフィの頭をぐしゃぐしゃ撫でると行ってしまった。
それを見つめる大きな瞳。見るからに、大好きっていうオーラいっぱいで…。

ウソップはそんな二人を見、思うのだ。

"おれの"サンタはお前にしか優しくねぇっつーの!

と……








/ジングベル、ジングルベル、鈴がなる。サンタがもうすぐ、やってくる…
08/12/11


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