Beast



初詣*


お賽銭をポンと投げてパンッと元気に手を合わす。
「今年もゾロといっーぱい遊べますように!」
ルフィは大声で願いを述べる。

その隣でゾロはぐっと瞳を閉じて心の中で願いを唱える。

そんなゾロを見つめルフィは、寒さで赤くなった頬をぽっと、更に染める。

凛とした鼻立ちに、堅く閉じれた瞳、白い息を時折漏らす口元。
男らしい横顔をじっと眺めていると、スッとゾロが目を開きルフィへと視線を移す。
バッチリと合った瞳をぱちぱちさせ、ルフィはゾロの瞳を見つめる。ゾロも「ん?」とルフィの瞳を見つめ返す。

数秒見つめ合うと
「なんだよ…。」
とゾロは照れたように目を少し反らすと、ルフィの頭をくしゃりと撫でる。
「しし、ゾロ、何お願いしたんだ?」
とにこにこ微笑みルフィはゾロを見上げる。きらきら輝くルフィの鼻は寒さで赤くなっていて、ゾロはマフラーをそっと引き上げてやりながら呟く。
「ひみつ…。」


そして手袋をはめた手を握ると屋台が並ぶ広場へと足を進める。
「ずりぃぞ、ゾロっ!おれは教えたのに!」
ルフィは唇を尖らせ、とてとてと引かれるままにゾロの後を追う。
「バカ、あれじゃあ聞きたくなくても聞こえるっつーの!」
とゾロは人混みをズンズン進む。
「あれぐらいハッキリ言わなきゃ神様につーじねーだろっ!」
ルフィも負けじとギュウギュウ人を押し、進む。


人混みを無理矢理抜けると、パッと開けたところに出た。周りは木が生い茂っているだけ。屋台はひとつも出ていない。
一歩出れば、そこは人混みで、確かに賑やかな筈なのに、なぜか今はただ静かに感じられて…

「ゾロ…?」
辺りの雰囲気が急に変わりルフィはぱちぱち瞬くとゾロの背中に呼びかける。
「ルフィ…。」
振り返るとゾロはしっかりとルフィを見つめる。意志の強い、堅く、凛々しい視線。まるで獣のような、それでいて安心出来る瞳。
ルフィはただゾロを見つめ返した。黒く、吸い込まれてしまいそうな深い深い瞳で。

「好きな奴と永遠に一緒にいたい。今年だけじゃなくて、一生…手離さない。」
ゾロは静かに呟いた。
「それって…」
と呟き、ゾロを見ていた瞳をヘニャと崩すとルフィは笑う。
「お願いじゃなくて誓いだなっ。」


木々が冷たい風にサワサワと揺れる。


ゾロはそっと近付くと優しく肩を引き寄せ、抱きしめ、ルフィに囁く。

「大きな声で言わなきゃ伝わんねぇ?」

ルフィもそっとゾロの背中に腕を回す。


「じゃあ…神様には…ひみつにしとこう…?」




この言葉はおれの為に………










/毎年初デートは初詣だね。来年も、その次も、その次も。ずっと…
09/01/01
(過去拍手)


*

[ 27/99 ]

[prev] [next]

Back



×
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -