Beast



お年玉


「ゾロ、ゾロ!」
いつも元気な船長はお正月でも、そりゃあ元気で、大好きな彼の名を呼ぶ。
「ん?なんだ。」
いつも寝てばかりの剣士はお正月でも、そりゃあ寝てばかりで、大好きな可愛い船長の声で目覚める。
「お年玉っ。」
とキラキラ輝く笑顔でルフィはゾロに酒瓶を渡す。
「おぉ、サンキュー。」
ゾロはのっそり起きあがると酒瓶を受け取る。
「嬉しい?」
ルフィが少し顔を火照らせ尋ねる。
「あぁ。」
ゾロは優しく黒髪をといてやる。
「じゃあさ…」
とルフィは恥ずかしそうにゾロを見上げ
「おれにも…お年玉、ちょーだい?」
と尋ねる。
「いいぞ。」
と言うゾロの答えにルフィの顔はパァっと明るくする。

「でも、今はやるもんねぇから…」
とゾロはルフィの顎に手をかけると軽く力を入れ上を向かせる。
「これで我慢な?」
とそっと口づけする。

甘い甘いキス。今年はじめてのキス。これから何回だってしてやる。

そっと唇を離すとポツリとルフィが呟く。
「ずるい…」
そして、ぎゅっとゾロに抱きつく。
「これじゃあゾロにとってもお年玉じゃん。キスはゾロにとってもお年玉…だろ?」


にしし、と耳元で笑うコイツが愛しくて。しっかりと抱きしめて呟くのだ。


「後で倍で返してやっから…今は……」




2人で、2人だけのお年玉を……










/お年玉なんてただの名前だけ。袋の中身は空っぽ。
09/01/01
(過去拍手)


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