Beast






緑の短髪と赤いベストが春風になびく…




「ゾロっ!」
とルフィがゾロに向かってもぎたての苺を摘んで見せる。
「真っ赤っ!」

ゾロはふっと笑うと
「うまそうじゃん。」
とそっとルフィの頭を撫でてやる。


ルフィはトレーの中の練乳を真っ赤な苺に軽くつけ、パクリとかじる。


「甘い?」
ゾロがにこにこと苺を頬張るルフィを覗き込む。

「うんっ!すっごく美味しいっ!」
ルフィはにっと白い歯を見せ笑う。


きらきらと照る太陽は少し眩しくて…

それでも、暖かくて心地よかった……




「ゾロは食べないの?」
とルフィはくるりと丸い瞳で、ゾロを見上げる。

ゾロは微笑むと
「甘いのは苦手だからな…」
とルフィに真っ赤な大きな苺を手渡す。
「はい、ルフィ…」


ありがとう、と受け取った苺は

よく見ればハートに似た形をしていて…

苺って可愛いな、と………




そっと唇を付けた。


赤い素肌はツルンとしていて…

種のつぶつぶが、なんとも、こそばかった。




「ルフィ…?」
苺にキスするルフィを見て、ゾロが不思議そうに尋ねる。
「食べねぇの?」


「これはっ」
ルフィの両手がゾロの胸の前に伸ばされ…


「ゾロの苺っ」


優しいその手の中には…

真っ赤なハートがひとつ。




「練乳ついてないし、食べて?」
とルフィはゾロを見上げる。


「一緒に食べよ?ゾロ…」


ゾロはそっと苺を摘む。

そして、真っ赤な苺がゾロの唇に触れ…


ゾロも苺にキス……


「いただきます。」

と微笑めば、不思議そうに見つめていたルフィが、クスリと笑う。


ゾロが優しく苺を口へと運ぶ。


口の中で広がる甘味と柔らかな酸味。


この甘さは好きだな、と…

もっと味わっていたい、と……


それでも苺はせっかちで

名残惜しげに喉へと消える……




「ゾロ、美味しい?」
とルフィが心配そうに見上げれば


「愛の味がした…」

なんて、にっと意地悪く笑うゾロ。


ルフィがぼっと赤くなって
「き、キスしたのはっ、ただっ…」
と一生懸命に言い訳を考える。

そして……

「苺が可愛かったからだもんっ」

と真っ赤な顔で膨れる。
「ゾロのためなんかじゃっ」
と小さな声で小さな嘘をつく。




「じゃあ、」
ゾロがルフィの顎に手をかけ…


優しく唇を重ねる……


真っ赤な苺よりも

真っ白な練乳なんかより

もっともっと甘い唇……




そっと唇を離し

真っ赤なルフィの耳元で……




「ルフィが可愛かったから…」




低く甘い声にルフィの肩が揺れる。
「な、に…?」

「キスの理由…」
ゾロがゆっくりとルフィを抱きしめる。


「ルフィが可愛いからキスしたんだ…」








春風がふわりと吹いて

優しい苺の香りと




甘い愛を運んでくる……










/ねぇ…真っ赤な苺に愛をかければ、いったいどれほど甘くなるの?
09/01/12
(1515hit記念フリー小説)


配布終了
09/01/20


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