Beast



いただきます


静かな朝……

新婚さんの甘い朝…




「ねぇゾロっ、起きて…?」
ルフィがちゅっとゾロにキスする。
「もう起きる時間っ」


むっくりとゾロは起き上がって、大きな欠伸をひとつ。
「ルフィ…おはよう…」
そして眠そうにルフィの胸にもたれかかる。

「おはよう、お寝坊さんっ」
とルフィはゾロにぎゅっと抱きついて、ゆっくりとゾロを体から離す。
「早く準備しなきゃいけないんでしょ?」

ルフィはゾロのパジャマのボタンを上から順に外してやる。

ひとつひとつ、丁寧に外して、ワイシャツを羽織らせる。

「ゾロ〜、寝ちゃダメっ」
うとうとしているゾロの額をペチリと軽く叩く。
「ちゃんとボタン留めて、ズボン着替えて、ね?」
ズボンや靴下をベットの上に並べルフィが言う。

「ごはんの支度して、待ってるから、ね?」


部屋を出ようとするルフィの腕を掴み
「キス…」
とゾロがボソリと呟く。

「はいっ」
とルフィはゾロの額にちゅっとキスをする。


「あとで三倍返しだからねっ」

とクスリと笑い、ルフィはキッチンへぱたぱたと走る。






「おはよう、ルフィ…」
支度を終えたゾロがキッチンに顔を出す。
「おはよう、ゾロっ」
とルフィはにっこりと微笑む。


机の上には少し焦げたトーストに、黄身の潰れた目玉焼き。


ルフィがことりとミルクが入ったペアカップを机に置く。
「がんばったんだけど、黄身潰れちゃったんだぁ」
とゾロに残念そうに言う。

「どうせ潰すんだし、いいよ。」
とゾロもテーブルにつく。
「ルフィ…料理上手になったな?」
とゾロは優しく微笑む。




ルフィはお料理が苦手。
焼けば焦がすし、煮れば吹かすし、お皿を持っては割っていた……

そんなルフィが、半熟の目玉焼きを焼けるようになったのも、全てゾロへの愛のため……




「毎日、朝メシ作ってくれて、ありがとう。」


ゾロが、前に座るルフィに、感謝の言葉を述べる。

ルフィは真っ赤になって……


「お、お嫁さんだからだもんっ」


と可愛く俯く。


「うん、俺のお嫁さん…な?」
照れるルフィを見、ゾロがふっと笑う。


そして、

「食べさせてくれる?」
なんて、珍しく甘えてみる。


「いいよ?」
とルフィは自分の椅子をゾロの横に運ぶ。


フォークでトロトロの黄身を白身の上に広げ、一口大に切る。


「ゾロ、あ〜んっ」

「はいはい、あーん」

小さな卵が、ゾロの大きな口の中に消える。


「はい、ルフィ」

「え、おれもっ?あ、あ〜ん」

ゾロがトーストを小さくちぎってルフィに食べさせてやる。


「美味い?」
とゾロが尋ねれば

「ゾロがあ〜んしてくれたのは、何でも美味しいっ」

とゾロに抱きつく。


「じゃあ、毎日してやろうか?」

なんてふざけて笑うゾロを見上げ
「毎食がいいなっ」
とルフィが答える。




真っ黒な瞳がゾロを映して、
ゾロの瞳にはルフィが映る……




「じゃあ、今晩もやってやるな?」
とゾロが優しくキスを落とす。


「うん。じゃあ、お仕事、早く帰ってきてね?」
と愛らしい瞳でゾロを見上げる。




「あぁ、一番に帰ってくるよ…」


もう一度、甘いキスを落として…
耳元で囁く……


「お前だけのために……」








どんなに黒こげだって……

どれだけ苦くたって……


お前が懸命に作った物は




愛の味がするんだ……










/いただきます、と目を瞑る貴方の睫の、長いこと長いこと…
09/01/11


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