Beast



愛してる



「なぁ…ゾロ?」
満月の夜、見張り台に二つの影。今日はゾロが見張り番。
なのに、隣には毛布にくるまったルフィがいて…ゾロを見上げて名前を呼ぶ。
「あぁ?なんだ?」
ゾロは遠い海を眺めていた目をルフィに向ける。真っ黒な瞳には、まん丸の月が映っていて……

「おれ、ゾロのこと、すきなのかもしんない。」

とルフィが一言。ふざけているようではなくて、でも、予想もできないような可笑しな言葉。
「俺のこと、すきかもって?」
ゾロはルフィの横に静かに座ると
「かも…って?」
と大きな瞳に尋ねる。
「だって、わかんねぇんだ。シャンクスとか、エースとか見て思った"好き"じゃなくて、ゾロ見てると、なんか照れるし、ん〜わかんねぇけど、なんか…ッ!!」
静かにゾロの唇はルフィの唇へと触れ、酒の匂いを残し、そっと離れる。

「こうされると…どう?」
ゾロがいつもになく優しく笑う。
「ど、どきどきするっ!」
顔を真っ赤にし、驚いたように大きな目をもっと見開き、ゾロのTシャツをきゅっと握る。
「会いたかった?」
とゾロはルフィの頭を撫でる。
「だから、きたっ!」
と少し興奮したように返す。まるで"この気持ちを教えて"とでも言うように…。

「じゃあ、それは…"愛してる"んじゃねぇか?俺を…」

ゾロは笑った。もしかしたら、少し照れたのかもしれない。月明かりでは、はっきりとわからないけれど…。
「愛、して、る…?」
一度噛み締めるように呟き、ルフィはゾロを見上げる。
「で、でも、ゾロも、おれも、おとっ…」
「そんなの、かまわねぇ…」
ルフィの言葉を遮り、ゾロが言う。

「俺はルフィを愛してる…」

そう言ってにっと笑った。その笑顔を見
「おれもっ…ゾロのこと愛してる!」
と叫ぶと、ルフィはゾロへと抱きついた。
「ずっと言いたかった。でも、わからなかった。苦しかった、怖かった。でも…今……愛してる…」
ルフィの手に力が入りゾロの胸に自分の顔をぎゅっと押し付ける。

ゾロはゆっくりルフィを自分の胸から離すとおでこにキスし
「大丈夫。わかるから、お前が俺のこと想ってくれてんの。だから、らしくねぇ顔すんな。」
と頬を撫でる。
「ん…今だけ、だぞ!」
と寂しそうだった顔をパッとあげると、拗ねたように唇を尖らせ
「こんな不安になるのは、ゾロのこと考えてる時だけ…。それに、ゾロもらしくない。」
とゾロの頬に手を添え
「しし、優しすぎ…。」
と笑う。
「今だけ…な?」
とゾロも笑い返す。


静かに波が歌う、星が瞬き、月が微笑む。
「だけど…」
ゾロがルフィをぎゅっと抱きしめ、耳元で囁く。まるで、秘密話のように。

「"愛してる"のは、ずっと…な?」

少し、確かめるように、甘く呟く。
「わかってる…ずっと、愛してる…」
ルフィもゾロの首筋に顔をうずめ、静かに返す。


波は穏やか。明るい満月の夜に敵船は見当たらない。

ただただあるのは、波の音と輝く星と、満月に照らされる二つの影…








/もっかい言って…?愛してるって………
08/12/10


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