Beast



飲酒禁止


「なぁ、おれも飲みたいっ」
なんてルフィから言うもんだから…




「熱いっ」
と真っ赤なルフィが、ベストのボタンに手をかける。頭がふわふわするせいか、ボタンを掴んではつるんと滑り、上手くはずせない様子。

「ゾロっ脱がせてっ」
ルフィは潤む瞳をゾロに向ける。

「お願いっ、脱がせて…」
頬が赤く、濡れた唇は少し開き、熱い吐息を時折洩らす。






ことの発端は、ルフィのひとことで…
「おれもゾロと同じお酒、飲むっ」

ゾロと一緒がいいっ、なんて可愛いことを言うものだから、ゾロもしょうがなく酒を渡す。
アルコール度はまぁ高いが、普段酒を飲むことが多いからと、油断しているうちに…
ルフィの前には酒瓶の列。






「はいはい」
ゾロはルフィを抱き寄せ、金色のボタンを丁寧に外し、真っ赤なベストを脱がしてやる。
「これでいいか?」
とルフィに尋ね、また酒を軽く口に含む。




「ゾロっ」
ルフィがゾロをジッと見上げる。


「ゾロ、お酒が一番すきっ?」


ゾロにしてみれば、酒なんて水のようなもの。
まぁそれだけ飲んでいるのだから、他の飲み物よりは遥かに好きではある。


「あぁ、酒が一番好きだな。」
ゾロが何でもないようにルフィに答える。

何でもない、ただの答え…
ただ、酒が好きだというだけ……


だが…

ルフィはその言葉を聞き、急に悲しそうな顔を作る。


「おれ、よりもっ?」

と先ほどまでは笑っていた顔を崩し……


「おれじゃ、なくって、お酒が、一番すきなのっ?」

と、ほろりと泣いた。


「ち、違うんだっ、酒は飲み物の中では、まぁ一番好きだからっ…」
ゾロは慌てて、ルフィに弁解する。


「やだー、おれが一番じゃないと、やだぁ」
ポロポロと涙を流し、ゾロの膝上で駄々をこねる。

ゾロはそっと手をのばし…

「俺はルフィが一番すきだぞ?」
と綺麗な黒髪をそっとといてやる。


そして…

ルフィをぎゅっと抱きしめる。
ホントに困った恋人だな、と心で苦笑し。

「ほんとに?」
ルフィが涙の溜まった瞳をゾロに向ける。

「あぁ一番。」
ゾロは優しくルフィに笑いかける。




ルフィは真っ黒でユラユラと輝く瞳でゾロを見つめる。

「キス…」


「一番ならっ、キス、して…」
なんて、ゾロの首に腕を回し、ピンク色の唇で、可愛い声で囁く。


「お願いっ…」




ゾロはそっとルフィにキスする…

角度を変えてもう一度……


酒のせいでわがままになった可愛い恋人に、甘く、甘く…






「まだ暑い?」
ルフィの額に張り付いた前髪にそっと触れてやり、優しく尋ねる。

「暑いっ…」
鼻にかかった声。
ルフィはゾロに抱きつき言う。

「ゾロっ…体、暑いっ」
涙目でゾロの胸に顔をうずめる。


少しつらそうなルフィを見
「大丈夫か?」
とゾロが心配そうにルフィの背中を撫でる。

「気持ち悪くねぇ?」
「わかんない…」
ルフィはゾロのシャツをぎゅっと握る。


「水、飲む?」
とゾロはそっと尋ねる。

「…うん」
ルフィはゾロの胸に顔を擦り寄せる。


「じゃあ…」
とゾロはルフィをそっと自分から離し
「ちょっと待ってろ、な?」
と膝の上から抱き上げると、床へと座らせてやる。


水を取るために、よいしょ、と立ち上がり……




「やだぁ〜ゾロと一緒がいい〜っ」

ルフィが大声で叫び、また泣き出す。
ゾロの足に後ろからしがみつき、ホロホロとゾロのズボンにシミをつくる。


ゾロはやれやれ、と頭をかき

「ごめんな?ルフィ」
としゃがみ込み、また抱きしめてやる。


「ほら、ちゃんとここにいるから…」
ルフィの頭を撫でてやり、優しく囁く。


「大丈夫。俺はお前のこと好きだから…」


ルフィの泣き声が少しずつ小さくなって…

「すき…?」

ゾロを見上げる。

「うん、大好き。」
ゾロもしっかりとルフィを見据え…




キスしてやる……

そっと甲板に押し倒し、もう一度……

もう一度………








とうぶんお前は飲酒禁止。

だって……




俺の愛を疑うなんて………










/じゃあ君も不安にさせた罪で飲酒禁止。ね?
09/01/09


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