Beast



レモンタルト


暖かいよいお天気。風も穏やか。


「ゾロ〜っ」
とルフィが甲板で眠っているゾロに抱きつく。
「ゾロ?」
ルフィはまん丸な瞳で、ゾロの整った顔を覗き込み、また名前を呼ぶ。

ゾロは静かに寝息を立てるだけ…


「大好きだから、起きてっ」
ルフィはゾロの首筋に顔をうずめ、いつものあの、甘く愛らしい声で囁く。

「大好きだから、いっぱい遊んでっ。大好きだから、抱きしめてっ。大好きだからっ…っ!!」


ルフィの瞳が驚いたように、パッと見開かれ……




ゾロの唇がルフィからそっと離れる。

「大好きだから、キスしてやった」
とゾロがルフィに笑いかける。

一瞬、何が起こったのかわからない、とルフィはキョトンとし、そして…

「いじわるっ」

と嬉しそうに笑い返すと、ちゅっとゾロの額にキスをする。


「キス好き?」
ゾロがルフィに尋ねる。

「ゾロのは、なっ」
ルフィがゾロを見つめる。

「他にしたことあんの?」
とゾロが意地悪く聞けば
「ゾ、ゾロだけっ」
と、少し慌てたようにルフィは答える。

そして頬をふんわり赤く染める。

「でも、ゾロとだけでいいっ。キスはゾロとだけっ。」


綺麗な漆黒の瞳はジッとゾロを見上げる。
「だからっ」
とゾロのシャツをきゅっと握る。

「だから…」
さくらんぼ色の小さな唇で、小さく呟く。

「だから?」
ゾロが、そっとルフィの瞳にかかる髪を分けてやる。


「ゾロも、おれだけにしてっ」

顔を真っ赤にしゾロを見つめる。

「キスだけじゃなくって、全部、おれだけにしてっ」


甘く唇が重なり、名残惜しげにゆっくりと離れる。

「ルフィ…可愛すぎ」
ぎゅっと抱きしめて耳元で囁く。

「愛してるよ…ルフィ」

その声はどんなお菓子なんかより甘く…


「おれも、ゾロ、好きだっ」

その声はどんな果物よりも甘酸っぱくて…






暖かいよいお天気。風も穏やか。


「なぁ、どうしよう…ナミ…」
ウソップが呟く。

「何が?」
ナミは、新聞から目をはずさず、ウソップに尋ねる。


「オレ、気付いたら、この風景に慣れちゃってるんだけど……」
と窓の外を指し、ウソップは困ったように言う。


「あら、いいじゃない。可愛くて。」
ロビンは紅茶を傾け、クスリと笑う。
「毎日見せられれば、慣れるものよ?」
軽く足を組み替え、静かに本に視線を落とす。


「初めはびっくりしたけど、仲良いってことだしいいんじゃないか?」
とチョッパーが、ちょこんと椅子に腰掛け言う。
「うん、でも最近慣れてきたなっ」
と、サンジに、今日のおやつは?と問う。


「あぁ、逆にああじゃなくなったら、心配するな。俺は…」
とフランキーが椅子をひき、ドカッと座る。
「まぁ、慣れれば可愛いもんだ。」
と、コーラも出せ、と冷蔵庫を漁るサンジに怒鳴る。


「んまぁー、お似合いですしっ!」
ブルックは軽やかに笑う。
「慣れですね、慣れっ」
と机の上にあるティーカップを持ち上げ、口元へ。


「そんなに嫌なら止めてきたら、どうだ?」
とサンジはせっせとおやつを作っている。
「まぁ、長い付き合いなんだし、諦めろ…。」
ミントの葉をつまみ、そっと乗せる。

今日のおやつはレモンタルト。


「いや、止めるとかじゃなくて、慣れてるオレらが…」
ウソップがまごまごと口ごもれば


「必要なのよ」
とナミの一言…。


「あいつらには、必要なのよ。毎日毎日、余るほどの愛がね。」


新聞をバサッと机に置き、レモンタルトをパクリとかじる。


そして、窓の外の2人を見、呟く…


「甘い…」




あいつらも……

レモンタルトも……


私たちも……




甘いのね、きっと……










/レモンタルトの酸っぱさなんて、もう感じない。何百回と食べて慣れてしまったから…
09/01/07
(茉莉花様「バカップルゾロルとクルー達」)


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