Beast



お風呂


唇に甘い誘惑。

首に回された腕は滑らかで細く。

ふるふると震える睫はくるんと長い。

艶やかな髪はキラキラと揺れ、
まるで、真冬の星空のよう………




甲板で寝ているゾロに、ルフィがそっと口付けする。
「ん…」
と瞳を開ける。
ゾロにぎゅっと抱きつき
「お風呂…一緒に入ろう…?」
なんて、真っ赤な顔で尋ねられれば、断れるはずもなく…






ルフィを抱き上げ脱衣場へ。

金色のボタンを外し、真っ赤なベストを脱がしてやる。

ルフィも背伸びし、ゾロの胸元のボタンをプチプチ外す。

「早く入りたい?」
頬を優しく撫で問うと、ルフィは可愛くコクンと頷く。






風呂場はむわっと湯気が待っていて、腰にタオルの2人を包む。

シャワーを出して体を洗う。


「背中っ」
泡だらけのタオルを片手にルフィが言う。

「背中、洗ったげる!」
そういうルフィの顔には、たくさんの泡がついていて、きらきらと照明に反射する。


ゴシゴシ大きな背中を擦る
そして泡だらけの背中に抱きつく…


「ルフィ?」
とゾロの声が背中に響く。


「ゾロの背中はおれの、な!」

なんて、可愛いことを言われれば、背中のルフィをクルリと回し、向かい合う。

「目、つぶっとけよ…」
とシャワーで顔の泡を流すと、ギュッと瞑った瞳に、そっと口付け。


「ルフィの体は全部、俺の。」


耳元で低く囁くと、ルフィが赤くなり、ふるりと肩を震わせる。

「だろ?」
と優しく、額に張り付く前髪をかき上げてやる。


「うん、おれのは全部、ゾロのっ」


と見上げる瞳は熱っぽくて、いつも以上に可愛く感じられる。


「なんで、俺のこと風呂に誘ったの?」
と尋ねてみる。

いつも、お風呂に誘うのはゾロからなのに、今日は珍しくルフィから…

「寒かったから?」
ギュッと抱きしめてやる。

「とおじ、だから」
ルフィが呟く。

「冬至だから、今日…。お風呂にゆず入れたから…」
ルフィがゾロの首筋にちゅとキスする。

「だっこ、してくれなきゃ、入れないもん…」

そして赤くなる。

ルフィは1人で湯船に浸かれない。
力が抜けてしまうから…


「じゃあ、一緒に入ろうな?」
とゾロはルフィを抱える。




バスタブのフタを開くと、ふわりとゆずの香り。
ぷかぷかと、気持ちよさそうに黄色い顔が並んでいる。

「入るぞ?」
「…うん」

ルフィを抱いて、ゆっくりとつかる。
腰までつかると、ルフィはギュッとゾロにしがみつく。

それでも、そぉっとしゃがんで…


「大丈夫か?」
肩までつかったルフィに尋ねる。

「…うん」
やんわりとゾロに掴まり、ルフィはふぅっと息を吐く。

やはり力が入らないのが恐いのか、睫がふるふると震える。


「ゾロっ、キス、して…?」
ルフィがゾロを見上げる。

大きな瞳はどことなく潤んでいる。頬もぽぅと染まり、薄く開いた唇はいつもより艶やかで、色っぽい。


「ゾロっ」
ルフィに見とれていると、焦ったようにルフィが名を呼ぶ。


「お願いっ、キス…」

ふわりと唇をつけてやる


恐いのに、なんで、わざわざ入るんだよ…
心の中で呟いて、ふっと笑う。


「もっとっ」
黒髪に水滴はきらきらと光り、まるで星屑のよう…










恐いのを忘れたい?
そのためにキスを繰り返すの?


じゃあ…


恐いなんて感じられないくらい
たくさん、たくさん、キスしてあげる










/のぼせたのは、お風呂なんかのせいじゃない。そう…あなたの熱いキスのせい…
09/01/06


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