Not ZL



嘘吐き


「エース……すきっ…」

腕の中に収まる小さな頭が愛しくて…

「……うん」

取り逃がさしてしまわぬように、強く抱き締めた。




ルフィの瞳がユラユラ揺れて、エースをじっと見る。
「行っちゃった。」
「あぁ…」
エースがしょうがないだろ?とルフィの頭を優しく撫でる。

「シャンクス達っ、行っちゃったっ」
ルフィの大きな瞳には涙が溜まり、今にも零れそう。

「ほらっ」
エースは大きく両手を開く…

「おいで…」

そしてルフィに優しく微笑むのだ。
「ぎゅってしてやるから。」


ルフィがエースの胸へ飛び込む。

「すきだっ」
と何度も何度も呟いて…

「うん、俺もルフィのこと、好き」
とエースはルフィの頭をそっと撫でる。
「大丈夫だから…な?」
困ったように笑うと、ルフィはいつもの、あの言葉…


「エースはずっとここにいてっ」


ぎゅっとエースに抱きつき…
「ずっと、おれの側にいてっ」
と小さな顔を胸へとうずめる。


「あぁ…」
なんて、俺はただ嘘をついて……


「好きだよ…ルフィ?」
と唇を落とす……




今だけの、幼い幼い、その言葉は重く…
俺を嘘吐きにさせる……


お前は海に出る俺を許してくれるだろうか?

なんて、泣き疲れた寝顔にそっと問うて……










/昔の馬鹿なウソと違って…俺は君のためだけに本当の嘘吐きになるのだ……
09/01/07


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