こころはグラデーション
気付けば、傍にいた。
気付けば、笑い合っていた。
気付けば、すきだった。
気付けば、唇が触れていた。
広い広い海の上、狭い狭いボート上で2人の距離はほんの数メートル。
食べ物を渡す度に触れる指が愛おしくて。寝返りを打つ度、近付く顔が恋しくて。
抱き締めたいなんて、異常だろうか。
ただ、傍にいる。笑い合って、その笑顔がすきで。それだけで幸せなんて。
少し前までは知るはずもなかった、目の前の大きな夢を見る、小さな背中を抱き締めたくて。腕を伸ばして……引っ込める。
近いのに遠い、この距離。
どこが俺とお前の境界なんだろう?
伝えたいのに伝えられない、この想い。
いつから俺はこうなってしまったんだろう?
「おれは海賊王になる!」
そう輝く笑顔を向ける相手に鳥肌が立って。恐いぐらいに愛おしくて。
気付けば強く抱き締めて、唇が触れていた。
ただの仲間のはずだった。
仲間としての「すき」のはずだった。
気付けば「愛して」いた。
愛おしくて堪らなかった。
「いつから」だなんてわからない……
だって……
恋は……
こころはグラデーション
/もしもハッキリとラインを引くなら…初めて手をつないだ時、かな?
2010/01/04
「安物スーパーマン」より
こころはグラデーション
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(Thenks/つぶやくリッタのくちびるを、)