Titel



偶然を装った必然

(ZL←S)




お前が好きだ

アイツに見せる
あの……

きらきら輝く笑顔が
愛おしくて…

胸が張り裂けそうで……


頼むから…
俺を見て………






シンと冷たい冬の夜…

キッチンから聞こえるのは、コトコトとお鍋を似る音で。
お鍋の前では金髪のコックさんがお玉を回す。


聞こえるのは時計の針の音に、コポコポとスープが湯立つ音、時折お玉が鍋を掠める音だけで……

いつもは紫煙を纏う、彼の周りには温かな湯気が立ちこめ……




トントンという控えめなノック音と共にキッチンの扉が開く。

扉の向こうからクリクリ丸い黒瞳が覗いて……


「こいよ…ルフィ……」

サンジが優しく微笑んで相手を手招く。

「約束通りスープ作って待ってたんだぜ?」
コンロの火を消して、丁寧にカップにスープを注ぐ。


優しい匂いが部屋を包んで…
まるで彼の嘘を覆い隠すように……






「あの……えっ、と…」
スープを受け取りソファーに座ったルフィはいつもと少し様子が違って……


知ってるよ……
お前はアイツのことになると、いつもいつも慎重だもんな?


「ほら、何でも言ってみな?相談って何?」

甘い手つきで撫でられる黒髪は風呂上がりのためか、少し冷たい……






「最近…ゾロが、冷たく、て…」
ポツリポツリと呟く言葉は、まるでチェリーのように柔らかな唇から洩れ………

「抱きしめてもくれないし、キスも……」

ホロリホロリと落ちる涙は、まるで真珠のように美しく………






「愛してるよ…ルフィ…」




薄い唇から低く甘過ぎる言葉が零れ……

そっと、唇が触れて………






アイツがいるときに限って、敢えてスキンシップを多くして

アイツに近付こうものなら、間を割って

2人っきりにさせるものかと、ずっとルフィの傍につき……


不仲になりはじめた2人の仲を直すフリをして滅茶苦茶にしてやる。




どうしても、俺はお前が欲しいから……

どんな手を使っても、お前が欲しいと願ったから………






唇が触れた瞬間、冷たい風がキッチンに吹き込み……


「お前、ら………」

見張り台にいるはずのゾロが、悲しそうな、怒りに満ちた表情を2人に向け……








お前が泣いたって
お前が俺の物になるまで……

全ては俺が仕立てた




偶然を装った必然










/それでも世界は回るのだ。
09/11/20
「安物スーパーマン」より
偶然を装った必然


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