Titel



蜂蜜をかけてあたしを食べるのでしょう?




真っ暗で冷たい夜…


ルフィはお腹がすいて、目を覚ました。
部屋の中で聞こえるのはクルーの寝息だけ。

静だな…なんて考えて、それでもぐぅとお腹は鳴る。

隣で眠るゾロを起こさないように、そっと起き上がると、男部屋を抜ける。
そして、いつも通りキッチンへ。

今日は珍しくサンジも寝ていたようでキッチンは誰もいない。パチンと電気をつけると静かにドアを閉める。

何でもいいから食べられる物を探す。
鍵付き冷蔵庫は開けられないから、戸棚をがさごそ。

キラリと輝く大きな瓶。


何だろう…
と引っ張りだす。


近くで見るとそれは黄金の蜂蜜で…


「こんなのでお腹いっぱいにはなんねぇよな…」
と呟き、また、チラリと蜂蜜を見る。


瓶の中で輝くそれはトロリとして、見るからに甘くて美味しそう。


「ちょっとだけ…舐めてみよう、かな?」
と蓋に手をかけ、キュと開ける。

甘い香りがプンと広がり、ルフィを誘惑する。


瓶の中に指を入れ、蜂蜜をすくう。
少しの間ルフィの指に乗り、そのあとトローンっと瓶の中に落ちていく。

一通り眺めた後、ルフィはパクリと指をくわえる。


ふわんとした甘味に深い優しい味が口に、鼻腔に、体に広がる。


「美味しいっ」

ルフィはもう一度指を瓶の中に入れる。

そしてまたパクリっ。
「すっごく美味しい!」

と今度は手を瓶に入れ、またトローンと引き抜くと、その手をペロペロと舐めた。

「なんか、すっごい良いもん見つけちゃったっ」
とにこにこ笑って舐め続ける。






ぱたんと扉が閉まる音がして目覚めると、隣にいたはずのルフィがいない。

トイレに起きたんだろうと少しの間ベットの中で待つが一向に帰ってくる気配がない。

廊下ででも寝てるのか?と心配になり、部屋を出る。


メリー号より随分と広くなったサニー号の船内で、ルフィを探すのは大変かと心配したが、ルフィの居場所はすぐにわかった。

キッチンだ。
明々と電気がつき、ゾロのことを呼んでいる。


そっとキッチンの扉を開けると、ルフィの背中が何かを一生懸命抱えている。


静かに静かに近づいて…

ぱっと両手でルフィの目を覆う。


「わぁっ…さ、サンジか?…こ、これは、その……摘み食いとかじゃなくてっ」
あたふたと慌てれば、ルフィは懸命に言い訳を考える。

そんなルフィに耳元でそっと囁く。
「摘み食いじゃなくて?」


低く優しい声にルフィが戸惑う。
「あれっ……ゾロ?」

「正解。」
と手を解いてやる。

あんな奴と間違うなよ、と文句を言おうとしたが、ゾロはルフィの顔を見、ぷっと吹き出す。


驚いたようにまん丸に開いた瞳に、蜂蜜がツヤツヤ光る口元。両手もベタベタで、瓶を抱えている足にも蜂蜜を滴らせている。

その姿は明らかに、摘み食い犯で…


「な、なんで笑うんだっ?」
とルフィはゾロを見上げる。


「お前が可愛いから。」
ゾロは優しくルフィの頭を撫でる。

ルフィは、少し顔を赤らめ、にしし♪と嬉しそうに笑う。


「それにしても、派手に摘み食いしたな?」
とゾロは辺りを見渡し、困ったように笑う。

と、ルフィが拗ねたようにまた言う。
「摘み食いじゃないっ」

蜂蜜だらけの口を尖らせたって全然、説得力がないのだけれど、ゾロは一生懸命なルフィに問う。
「じゃあ、何?」

ルフィの前にしゃがむと、本当は?と尋ねる。


「食べてって言ったから…」

ルフィがゾロを見つめて、真剣に言う。




「蜂蜜がキラキラ光って食べてって言ったからっ」




一生懸命に説明するルフィが可愛くて、蜂蜜だらけの唇にキスする。

いつも以上に甘いキス。
本当に甘いキス…




「……ゾロ?」
ルフィがゾロを見上げる。

ゾロはペロリと唇についた蜂蜜を舐める。
「ルフィが食べてって言ったから。」


ポカンとしていたルフィがクスリと笑う。
「もっと、食べて?」
蜂蜜がついた両手を出す。
ゾロは優しく蜂蜜を舐めとる。

「足にもついてるな。」
とすべすべした足にも舌を這わす。
「ん、ゾロっ」
ルフィが体を捻る。
「こそばかった?」
ゾロがニヤリと笑う。
「もう、足はだめっ」
真っ赤な顔でルフィはゾロの顔をグイグイ押す。

「顔…」
ゾロが自分の顔を指差し言う。
「…ん?」


「蜂蜜、ついたんだけど?」


ゾロの頬にはルフィの手についていった蜂蜜がベットリ。

「あ、ごめんっ!」
ルフィが急いでゾロの顔から手を離す。




「食べて?」




ゾロが頬を指差し、意地悪く笑う。
ルフィの顔は真っ赤。


「ルフィには、俺が食べてって言ってんの聞こえない?ルフィが聞こえるのは、蜂蜜の声だけ?」
ゾロが耳元で囁けば、ルフィはふるふる首を振る。


そして、ぺろっとゾロの頬を舐めた。


「美味い?」
ゾロが聞いても、ルフィは答えない。ただペロペロとゾロの頬に舌を這わす。

「なぁ…ルフィ?」
もう一度尋ねる。


「ゾロは…」
小さな声でルフィが呟く。




「ゾロは黙っておれを食べてればいいのっ」



その言葉を聞き
「そうだな」
と笑って…


可愛い奴……


とゾロはわざとルフィの足に蜂蜜を零す。
「じゃあ、足から…」

「あ、ゾロ、足はやだっ」






意地悪な貴方はきっと、私を食べてしまうでしょう?

なんて文句を言ったって…
蜂蜜をかけてあたしを食べるのでしょう?









/でもね、貴方になら食べられちゃってもいいかもっ。
09/01/04
「安物スーパーマン」より
蜂蜜をかけてあたしを食べるのでしょう?


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(Thenks/つぶやくリッタのくちびるを、)





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