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snow stone


キラキラと輝く宝石が、柔らかくも不思議な光を反射させて。
するりと通した指先が、ぴくりと震えた。


「これ。」
とベッドの上で差し出したのは、愛らしい小箱で。
先程までの甘い時間に、密着させた身体をそのままに潤んだ瞳を見つめれば、こてんと首を傾げられて。
「誕生日だろ。」
なんて、呟く声は意図せずぶっきらぼう。
「お前が欲しいもんは、食いもんばっかだし。おれには、何がいいかわかんねェから。」
そう、寝たまま手渡したボックスを開けば、月明かりに煌めく不思議な宝石が顔を覗かせて。

「すげー!お宝だ!」
と輝く真ん丸な瞳が愛しくて、箱から出した一粒石のリングを細い薬指に通せば、そっと白い額にキスをした。
「綺麗だな!」
と大きすぎるサイズの指輪に柔らかに笑う表情が愛らしくて。
「お前の方が綺麗だ。」
なんて、素直に言えるはずもなくて。指元でくるくると回る指輪を、静かに中指に通し直した。
「おれは、お前の欲しいもんも、指輪のサイズもわかんねェ。だが、幸せにしてやる自信はある。」
そう、細い腰を抱き寄せて、さらりと黒髪を梳けば、
「だから、これから先も、お前が生まれてきたことに、お前と出会えたことに、お前の隣で感謝させてほしい。」
温かな声が部屋を満たした。


普段、立ち寄ることのないアクセサリーショップ。
飴玉のような石のついたネックレスに、華奢なデザインのブレスレット。
「こんなもん、喜ばねェか。」
店を出ようと出口に向かって足を運べば、ちらりとガラス越しに微笑みかける美しい蛋白石。
夢のような遊色と、ころんと丸いフォルムに恋人の笑顔が浮かんで。
「雪みたいだな!」
そう、嬉しそうに笑う愛しい人の声が聞こえる気がして。


中指を飾る小さな石を見つめて
「溶けない雪の宝石みたいだ。」
としみじみ呟くその姿が、想像したのとぴったりで。
心に溢れる気持ちを抑えきれなくて。

「ルフィ、愛してる。」

オパール輝く指を絡めて、唇を奪えば、
「許可してやる!」
なんて、からかうような甘い声が耳を掠めて。


月に隠れて、また、熱い身体にそっと触れた。








2016.05.05
君の瞳は煌めくオパール。






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