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非日常な日常


夕食後、腕を引かれるがままにジムに向かえば、そっと優しく抱き締められて。
甘く熱い唇を合わせた。


一週間に一度のお風呂前の甘い時間。
お互いの匂いが愛しくて、温かな首筋に舌を這わせれば、耳元に口付ける。

星空の降る静かな空には、真ん丸なお月様が浮かんでいて。ガラス張りの室内を明るく照らす。
展望台も兼ねた、この部屋はきっと雲の隙間からは丸見えなのだろうが、そんなこと、気にもならなくて。
真っ赤な上着をさらりと落として、唇で細い鎖骨を撫でれば、普段に増して甘い吐息が髪を揺らした。
ゆっくりと脱力するルフィの背中に腕を回して、自らの上身で軽い体重を支えれば、刀をそっと傍らに置いて。肩から落とした長い衣服を腹巻からするりと抜き取れば、固い床にさらりと敷いて。愛しい身体をふわりと降ろす。

少し離れた身体すら不満なのか、伸びた腕にぎゅうっと引き寄せられて、先程のお返しとばかりに、首筋にかぷりと噛み付かれた。その鈍い痛みすら恋しくて、浮いた背中に腕を滑らせ、身体をそっと密着させれば、
「…ゾロの、匂いだ。」
なんて、とろんと溶けた声が凛とした空気を緩めて、ほわりと室温を上げた。
「なんだ、嫌か?」
と苦笑して、こてんと額を合わせれば、きらきらと宝石のような瞳が瞬いて、

「だいすきだ。」
艶めく唇が揺れた。


柔らかな両手に頬を包まれれば、どちらともなくキスをして、熱い舌をそっと絡める。

触れ慣れた白い肌が、今は特別、心地よくて。
聞き慣れた声が、あまりにも甘くて。
吐く息さえ惜しいと、深く深く相手を欲す。


そっと離れた濡れた唇を舐めれば、先を強請る様に細い足が腰を引き寄せて、
「まだ、終わらないよな?」
なんて、魅惑的に微笑む。


遠くから聞こえる波音に、雲に遮られた淡い月光。
ちらちらと舞う星屑すらも霞むほど、愛しい存在を抱き締めて。


「後悔するなよ。」
返答なんて聞く気も間もなく、角度をかえて唇を重ねれば。




お互いの熱を分け合うように、ひとつの影に溶けあった。








2016.09.22
甘い行為が最優先で、バスタイムは先延ばし。









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