New world



純白の指輪*

(新婚さんシリーズ)




キラキラ反射するのは
月光に輝く永遠の愛。






寒い寒い冬の夜。
久々に、なんて誘われて。訪れたのは少し離れた場所にある露天風呂。


「遅くなっちまったな…」
夜空を見上げて苦笑するゾロの横で
「でも、ゾロとのお出掛けは久しぶりだし、嬉しいぞっ」
なんて瞳を輝かせるルフィが笑って。


冷たい空気に白い息がふわりと消えた。




帰るのは大変だから、なんて理由をつけて、今夜は二人で旅館にお泊まり。
通されたお部屋には、ふかふかの布団が2つ並んでいて。嬉しそうにゴロリと寝転んだルフィに意地悪い顔をしたダーリンが一言。


「布団は1つでよかったのにな…?」


ニヤリと笑った顔が近付いてきて



ちゅ、

と触れるだけのキス。



真ん丸に見開いた、深く黒い瞳が、今度はニッコリと細くなって…


「おれだって、そんなのでびっくりするほど、子供じゃないぞっ」

なんて、わざと唇を尖らせてたルフィの、



あぁ、なんて愛らしいこと。





ゾロの首に腕を回して、
少し強引に顔を引き寄せれば、


キスキスキス。




そっとそっと、瞳の上の傷にも口付けて


「今日は、一緒に寝ような?」

なんて。




甘ったるい宣戦布告…






近頃、帰りが遅かったゾロ。
「やらなきゃならない仕事があるんだ。」

そう真剣に告げた旦那様。


昔の自分なら駄々をこねただろう。
思い出してクスリと笑ってみる。


ひとりぼっちのマンションが恐かった。
いつでも一緒だった友達や、ゾロがいなくて。

することはたくさんたくさんあるのに
なのに、やりたくないなんて
寂しくて堪らないだなんて
たくさんたくさん我が儘を言って。




今だって、きっとまだまだ子供だけれど…



「お帰りなさい、ゾロ。」




そういって笑って、お帰りのキスが出来る。








「明後日か…」

湯に浸かりながら、小さく笑えば

「うん…」
と真っ赤な顔をしたルフィがコクリと頷き返す。



俺達が一緒になって、あと2日で3年。
長いような短いような、不思議な感覚。

どうしても、記念日だけはふたりだけで過ごしたくて。
ルフィの傍にいたくて。

無理にでも片付けた仕事。



「今日はお月見酒しないのか?」

おれの膝に向き合うように乗っかって、キョトンとしたように此方を見つめる真っ黒な瞳が、昔と変わらず純で愛しくて。

「今日は月食だからな…」
と逆上せて赤くなった鼻先に唇を押し付けた。



「月がなくなるかわりに…」

月食というものを知らないだろう、
ハニーの手を取って…



「空に愛の証が浮かぶから。」





白く細い指に嵌められた
シルバーリング。




「3年ぶりの、愛の証だ…」





少し照れたように赤くなったゾロに
クスリと嬉しそうに笑ったルフィ…





「あいしてる」


二人で呟いた瞬間…






重なる唇を隠すように
空がそっとカーテンを引いて…






純白のリングの下で
愛しいふたりが重なった。










/僕の瞳に映るのは、綺麗な星空なんかじゃなくて、純白の指輪が映る君の瞳。
2011/12/10




※補足説明
皆既月食になった場合は赤く光るので、月では真ん丸のリングは出来ません。(つまり月食では太陽のようにダイアモンドリングが出来ません。)ですから、皆既月食直前に出来る月のわっかをイメージしてください。
でも真ん丸の純白のリング、見てみたいですよね^^




*


[ 3/20 ]

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