私は家に帰って早々、ベッドに突っ伏していた。今日は色々なことがありすぎて、何が何だかわからない。
「……ラブラモンは、どう思う? 飛鳥くんたちのこと」
「カイザー側にいたことは、紛れもない事実ですから。タケルさんたちがあのような反応をするのは、仕方ないかと……」
私がそう訊くと、ラブラモン眉を下げて答えた。
「……うん。私も同じ立場なら、ああいう態度をとっていたかもしれない」
私はベッドの上のクッションをぎゅっと抱きしめた。飛鳥くんと友達じゃなかったら――知り合いじゃなかったら、私もタケルくんたちと同じ考えだっただろう。
「でも、私は信じたいの。飛鳥くんのこと、ロップモンのこと。だってずっと、一緒にいたのに……」
「……それは、飛鳥さんにとってのカイザーも、同じなのかもしれませんね」
「飛鳥くんにとってのカイザー……?」
私がそう呟くと、ラブラモンはぴょんとベッドに飛び乗り、私の横に座った。
「それって、どういうこと?」
「……最初から闇に包まれていて選ばれし子どもになれるとは到底思えない、ということです」
ラブラモンが神妙な顔で呟く。今のカイザーは間違いなく闇に染まっている。でも、昔は……? 昔のカイザーのことなんて、私にはわからない。だけど――。
「……つまり、カイザー……一乗寺くんも、最初は優しい子だった?」
「……確証は持てませんが、恐らく」
私の質問に、ラブラモンは頷いた。
「なら、どうして今はあんなことを……」
「明日、飛鳥さんたちには話を伺わなければなりませんね」
「……そう、だね」
飛鳥くん、教えてもらうからね。ロップモンのこと、紋章のこと、そして――カイザーのことも。今夜はなかなか、寝付けそうにない。
翌日の放課後。私たちは早々にパソコン室に集合した。日中飛鳥くんは、私や京ちゃんに全く近づかなかった。罪悪感からだろうか、私にはそんな気遣いしなくていいのに――。
しかし、飛鳥くんの立場に立てば、それも無理はないだろう。話の内容によっては、飛鳥くんが責められる事態になるかもしれない。そうなったら、ロップモンが守ってくれるだろうけど……どんな展開になるかは、私にも分からない。
「……みんな、集まってくれてありがとう」
飛鳥くんはそう笑いかけたが、みんなの表情は固いままだ。するとおもむろに、タケルくんが口を開いた。
「逃げるかと思ったけど、逃げないんですね」
そのタケルくんの言葉に飛鳥くんは苦笑いしたが、真剣な顔でこう言った。
「俺はもう逃げないよ。絶対に」
その言葉に、部屋中の空気が張り詰める。飛鳥くんは、相当な覚悟をしてここに立っているんだ……。
「……じゃあ、まずは初めてロップモンに会った時から話すね。結構長くなるけど、頑張って話すから聞いてほしい」
「……わかった!」
大輔くんの元気な返事に微笑むと、飛鳥くんは話を始めた。――私は信じてるよ、飛鳥くん。