そして、ついに試合の日がやってきた。天気は快晴で、お日様が眩しい。晴れて良かったあ……。
「今日は、俺もお邪魔しちゃって申し訳ないです。よろしくお願いします」
「そんなに気使わなくて大丈夫だよ」
深々と頭を下げる飛鳥くんに、太一さんは笑いかけた。
「そうですよ。一緒に大輔くんのこと、応援しましょ?」
「大輔くんも、応援が多い方が頑張れると思いますよ」
「……うん! ありがとう」
ヒカリちゃんとタケルくんの言葉に、飛鳥くんの緊張もほぐれたようで、いつものような笑みをこぼした。飛鳥くんには笑顔が、1番似合うね。
「ごめんね飛鳥くん、緊張させちゃって」
「そんなことないよ。ラブラモンにも会えたしな」
私が謝ると、飛鳥くんは首を横に振り、ラブラモンに声をかけた。
「はい! お久しぶりです、飛鳥さん!」
「久しぶり、ラブラモン。元気そうで何より」
飛鳥くんはラブラモンの頭を撫でた。ラブラモンも気持ちよさそうに目を細める。お、おお……犬、じゃなくて、デジモンの扱いうまいなあ。
「あなたが、飛鳥さん……ですか?」
「うん、そうだよ」
すると、ポロモンがおずおずといった様子で飛鳥くんに声をかけた。飛鳥くんはポロモンの方を向き、目線を合わせた。
「君は、京のパートナー?」
「はい。私はポロモンです。以後お見知りおきを」
「伊織のパートナーのウパモンだぎゃー」
「ポロモン、ウパモン。よろしくな」
飛鳥くんはポロモンたちに笑いかけた。うん、爽やかな笑顔だ。
「……飛鳥さんって、不思議ですね」
すると、伊織くんがポツリと小さく呟いた。
「え、なにが?」
「飛鳥さん、すごくデジモンに慣れてる。僕たちが初めてデジモンに会った時は、そんなに冷静になることは出来ませんでした」
飛鳥くんが目をぱちくりしていると、伊織くんがそう指摘した。確かに、普通の人だと、とても驚くもんね。私もシャオモンに初めて会った時は、引っくり転がったもんなあ。
「それは、以前私と会ったことがあるからですよ」
「うん」
ラブラモンは伊織くんにそう説明をした。私も頷いて、続けて説明をする。
「シーサモンが完全体に進化した時、飛鳥くんも一緒にいたの」
「へえ……。飛鳥くんがデジモンに会ったのは、その時だったのね」
京ちゃんは感心したように、飛鳥くんとラブラモンを見比べた。会った回数は少ないものの、飛鳥くんとラブラモンは3年来の付き合いになる。そう考えると、結構長いのかも。
「ははっ、あの時はすごくびっくりしたけど……。湊海のパートナーのラブラモンと会えてよかったよ」
「そう、だったんですか……」
飛鳥くんがにこりと笑ってそう言うと、伊織くんは眉をひそめて頷いた。
「……わかりました。ありがとうございます」
「……?」
伊織くんのその態度には少し疑問が残ったが、もうすぐ試合が始まる。そのことはあまり気にせずに、大輔くんの方を見た。大輔くんたちは、準備運動を始めていた。しっかりやらないと、怪我しちゃうもんね。