「入口はどうやらあそこだけど……」
私たちは砂の山に隠れて様子を伺っていた。入口ではガードロモンが見張りをしている。
「あいつを倒して突入するしかないな」
「一撃で決めないとね。仲間を呼ばれたら、面倒だから 」
「あの数だと、さすがに対応しきれないもんね」
一体一体の戦力は大したことないものの、数で圧倒されるとさすがのラブラモンたちでも倒しきれない。えっと、こういうのってなんて言うんだっけ。1匹いたら10匹いると思えってやつ。……あ、ゴキブリか。
「よーし、大輔!」
「おう!」
「待って!」
すると、意気込む大輔くんとブイモンを、パタモンが制した。
「タケル、こっちのエリアにダークタワーなかったよね?」
「うん。あのドームの中にあるだけのはずだよ」
「て、ことはさ……」
パタモンの言葉に、私たちは目を輝かせた。
「そっか! アーマー進化じゃなくて!」
「いつもの進化ができる!」
私はタケルくんと頷き合い、デジヴァイスを取り出した。
「やってみるか!」
「うん!」
「いこう、ラブラモン!」
「はい!」
その瞬間、私たちのデジヴァイスは光を放った。
「パタモン進化ー! エンジェモン!」
「ラブラモン進化ー! シーサモン!」
光が収まると、エンジェモンとシーサモンがいつもの凛々しい姿でそこに立っていた。
「やった! 普通の進化もできる!」
「タケルくん、やったね!」
「うん!」
私たちはハイタッチを交わした。久々の成熟期への進化。やはりこの姿を見られるのは嬉しい。
「え……エンジェモン? シーサモン?」
大輔くんはどこぞのギャグ漫画のような顔で、エンジェモンとシーサモンを見つめた。ブイモンも驚いたようで、目を見開いている。
そのままシーサモンたちは、ガードロモンの元へ向かった。シーサモンが気を引いている間に、エンジェモンは金色の棒で腹辺りを突く。ガードロモンはすっかり大人しくなった。
「さあ、早く!」
エンジェモンの掛け声で私たちは走り出す。扉の前にたどり着くと、シーサモンたちはそれを破壊した。そのままゆっくりと中へ入っていく。すると、光を放って退化してしまった。
「タケル、やっぱりダメだ。戻っちゃった」
「仕方ないよ」
「お疲れ様!」
「いえ、これくらい朝飯前です!」
私が頭を撫でると、ラブラモンはブンブンと尻尾を振った。かわいいなあ。シーサモンもかっこいいけど、やっぱり1番はラブラモン、だね!
「さっきの、エンジェモンって……。パタモンたちも、アグモンみたいに進化出来たのか」
「もちろん! ダークタワーさえなければね」
「ってことは……ヒカリちゃんのテイルモンも……?」
「エンジェウーモンになるんだよ」
「え、エンジェモンに……エンジェウーモン!?」
パタモンの回答に大輔くんはわなわなと腕を震わせた。
「うん! 僕たちお似合いなんだよね、タケル?」
「あははは!」
大輔くんは怒り心頭な様子で、後ろを振り返った。
「ブイモン!」
「えっ?」
「じゃあお前は、ウルトラエンジェモンになれ!」
「え、ええっ!?」
「絶対になれ! 根性でなれえええ!」
「む、無茶言うなよぉ!」
大輔くんはブイモンの身体を掴んで、グラグラ揺らしながら無理強いをしていた。
ブイモンはどう頑張ってもグレイモンとかそういう系の進化だと思うんだけどなあ……。それはそれでカッコいいのに。
「あんまりからかうなよぉ」
「えへへへ」
パタモンはいたずら気に笑った。うん、かわいいからいっか。