責任の所在

「うわあっ!」

 急いで飛び込んだからか、みんなで転げ落ちるように現実世界へ戻ってきた。


「な、なに!? 今、何か爆発しなかった!?」

「僕見たよ! ガードロモンが攻撃して来たんだ!」

「あれ? ヒカリちゃんは?」

「ヒカリちゃん?」

 周りを見渡しても、ヒカリちゃんの姿はない。おかしいな……。テイルモンも見当たらないし……。


「まさか……まだ、デジタルワールドに!?」

「そ、そんな……」

 伊織くんのその言葉に、私は一気に血の気が引いた。あんな場所に、ヒカリちゃんが……!


「ダメだわ! さっきのゲートは、もう開かないみたい……!」

 京ちゃんはパソコンを操作しながら、そう伝えた。くそっ、あの爆発音はゲートが破壊された音だったのか――!


「タケル! ヒカリちゃん、お前のすぐ後ろじゃなかったのかよ!?」

「う、うん」

 大輔くんの怒鳴り声に、思わず私たちはそちらを振り向いた。


「何やってたんだ! ちゃんと一緒に連れてくるのが……!」

「大輔さん! 別に、タケルさんが悪いわけでは……」

「うるせー! ガキは黙ってろ!」

 伊織くんが宥めようとしたものの、大輔くんに強い口調で当たられてしまい、むっとした表情になる。


「……そういう言い方、やめてください」

「わ、悪かった……」

 私は伊織くんを後ろに回し、大輔くんの前に立った。


「八つ当たりはだめだよ、大輔くん」

「湊海さん……」

「ヒカリちゃんを連れて帰ってこれなかったのは……私にも責任がある。タケルくんだけを責めるのは、間違ってるよ」

 そう言い終えた途端、涙が溢れそうになったので、私はぐっと目元を拭った。ヒカリちゃんは、私が守らないといけないのに――。


「湊海ちゃん……」

「いや……大輔くんの言うとおりさ。湊海お姉ちゃんは悪くないよ。僕がいけないんだ……。僕が、もっと気を配っていれば……」

「いや……そう言われると……。みんな、気がつかなかったもんな……。俺も……」

 タケルくんが目を伏せながら、小さく呟いた。その様子を見た大輔くんも毒気が抜かれたようで、すっかり落ちこんでしまった。
 そのとき、パソコンから着信音が聞こえた。京ちゃんが急いで画面に向き合う。


「ヒカリちゃんからメールだわ!」

『ええ!?』

「私は無事です。心配しないで……」

「京さん、ちょっと変わって!」

 タケルくんは京さんをどかせると、パソコンを操作し始めた。


「さっきのエリアには行けなくても……隣のエリアから、行けばいいんだ! 僕、行ってくる!」

「あ、待って、タケル!」

 タケルくんたちはそのままデジヴァイスを構え、デジタルワールドに向かった。


「……私も、行ってくる! 必ずヒカリちゃんを連れて帰るから! 行くよ、ラブラモン!」

「はい!」

 私もそれに続くように、デジヴァイスを構えた。とりあえずの無事は確認出来たものの、あの数ではいつまで持つか分からない。いくら鍛えているテイルモンとはいえ、ひとりで相手にするのは厳しいだろう。早く向かわないと――!





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