ヒカリノキオク

 私たちはダークタワーを破壊し、黒く染まったエリアを解放していった。


「バードラモンがそのエリア。次はグレイモンがこっちのエリアに移動して……ガルルモンは、このエリアに移動ですね」

 光子郎さんはそう指示を出すと、後ろを振り返ってこう続けた。


「明日は……僕は来られないんですが」

「俺もバンドの練習が……」

「まあ、ヒカリや大輔たちだけでも、大丈夫さ」

 光子郎さんとヤマトさんが申し訳なさそうにそう言うと、太一さんが2人を励ました。私たちの方を振り返り、にっと笑う。

「そうですね」

「任しといてくださいって!」

 大輔くんはぽんと自分の胸を叩き、自信ありげに笑った。私たちも続けて頷く。もちろん太一さんたちがいれば心強いけど、自分たちでも頑張らなきゃ。


 そして翌日、私たちは再びデジタルワールドにやって来た。ビルが立ち並ぶ街の中で、警報が鳴り響く。

「不法侵入、不法侵入……」

「ゴールドラッシュ!」

「シューティングスター!」

「ナックルファイヤー!」

 デジモンたちの攻撃でガードロモンのリングを破壊していくが、その度に数が増えるので、全く間に合っていない。


「何なんだよ、あいつら!?」

「後から後からどんどん出て来る! キリが無いわ!」

「このまま消耗戦になるのは不利です。一度戻りましょう!」

「あたしも賛成! 数じゃかなわないもの、一旦逃げた方がいいわ!」

「逃げるぅ!?」

 伊織くんと京ちゃんの提案に、大輔くんが声をあげた。


「なに弱気になってんだよ、ダークタワーはもうそこなんだぜ!?」

「は、腹減ってきた……」

「俺も……」

 大輔くんがそう力説している間に、フレイドラモンとディグモンが退化してしまった。このままだと、数に押されてやられてしまう――。


「その気持ちは分かるけど、そろそろデジモンたちも限界だよ!」

 私は大輔くんの方を振り返り、そう叫んだ。


「大輔くん! ここは一度戻って、光子郎さんと作戦を立て直した方がいいよ!」

「テントモンがまた、新しい情報を仕入れてくれているかもしれないわ!」

「しょうがねえ……」


 タケルくんとヒカリちゃんの意見に、大輔くんも納得したようだ。ブイモンとアルマジモンが戻ってきたのを確認し、大輔くんは後ろを向いた。

「戻るぜ!」


 その大輔くんの掛け声を合図に、私たちは走り出した通りを曲がり、テレビを見つけた私たちはデジヴァイスを掲げた。京ちゃんを先頭に、次々とゲートに飛び込んでいく。すると、後方から爆発音が聞こえた。間一髪――といったところか?





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