その後、私は隣の部屋のヒカリちゃんを迎えに行った。
「湊海お姉ちゃん、おはよ!」
「おはようヒカリちゃん……あれ? テイルモンは?」
「うふふ」
ヒカリちゃんが私に背を向けリュックを見せると、その中からテイルモンが顔を出した。
「おやテイルモン、そんなところに」
「リードに繋がれているラブラモンには言われたくないけど」
テイルモンは感心しているラブラモンを呆れた表情で見つめた。
「私は湊海の犬ですよ? 何もおかしいところはありません」
「ぶれないな……」
「相変わらずラブラモンは面白いね」
若干ひいているテイルモンとは対照的に、ヒカリちゃんはくすくすと笑っていた。まあ通常運転というやつだ。
集合場所である学校の校門前に着くと、なんと意外にも、大輔くんが一番のりで待っていた。
「あ! ヒカリちゃーん、湊海ちゃーん!」
「大輔くん、おはよう」
「随分早いね」
「チビモンが起こしてくれたからな!」
大輔くんは得意気な顔で私にそう言った。自分で起きないんかーい!
「チビモン、えらいえらい」
「えへへ……」
ヒカリちゃんは大輔くんのリュックから顔を出したチビモンの頭を優しく撫でた。
「なっ、ずるいぞチビモン! ヒカリちゃーん、俺の頭も……」
「いやよ。なんで何もしてない大輔くんの頭を撫でないといけないの?」
「そんなあ……」
ヒカリちゃんにピシャリと断られ、大輔くんは肩を落とした。相変わらずヒカリちゃんは大輔くんに厳しいなあ。
「まあまあ大輔くん。私が撫でてあげるから」
「湊海ちゃあああん!」
私がそう言って手招きをすると、大輔くんは私の胸に飛び込んできた。やっぱりかわいい。
「もー、湊海お姉ちゃん甘やかしちゃだめよ?」
「あはは、ダメな子ほどかわいいって言うじゃない」
私は大輔くんの頭を撫でながら、ヒカリちゃんにそう答えた。ヒカリちゃんやタケルくん、伊織くんはとてもしっかりしているので、余計に大輔くんは面倒見てあげなきゃな、という気分になるのだ。ある意味これも大輔くんの魅力である。
「そういえば、京さんたちはまだ来てないのね」
「おっせーなあいつら……」
「きっともうすぐ来るよ。待っとこう」
『うん』
そうして少しの間待っていると、バタバタと足音が聞こえてきた。そろそろかな。
「待ったー?」
「大丈夫、そんなに待ってないよ」
私は京ちゃんにそう答えた。ピクニックは準備も色々あるし、多少時間がかかるのは当たり前だ。私もラブラモンに用意を手伝ってもらったしね!
「お、やっときやがった」
「うふふ!」
校門に寄りかかっていた大輔くんとヒカリちゃんが体を起こした。
「全員集合です」
「よーし! ピクニックにしゅっぱーつ!」
「おー!」
私たちは大輔くんのかけ声を合図に、歩き始めた。