ゴールデンウィークの朝。今日はピクニックの日だ。
「湊海様、お母様からお弁当を預かって参りました」
「ありがとう、ラブラモン」
私はラブラモンからお弁当を受け取った。もちろん、私とラブラモンのふたり分だ。
「……湊海様?」
「ん?」
「どうされたんですか、せっかくのピクニックだというのに、そんな暗い顔をされて……」
ラブラモンは心配そうに私を見つめた。せっかく楽しい日に言うつもりはなかったのだが――、すっかり忘れていた。ラブラモンには全てお見通しだということを。私は思わず苦笑いをした。
「……パソコン部のピクニックってことだから、飛鳥くんも誘ったんだけど断られちゃって……。もし飛鳥くんが行くなら、こっちの世界でピクニック行こうと思ってたんだけど……」
「なるほど……」
「前だったら絶対行ってくれたのに……最近はあんまり私たちと一緒にいてくれないの……」
私はリュックをぎゅっと抱き締めた。色々な人に鈍感と言われる私でもさすがにわかる。飛鳥くんは絶対何かを隠している。私たちに言えない何かを。――でも、こんなとき、私はどうすれば……。
「1度、飛鳥さんときちんとお話する機会を設けた方が良いかもしれませんね。今のままだと、湊海様も、飛鳥さんも、辛い思いをするだけですから……」
「ラブラモン……」
ラブラモンはにこりと微笑むと、そっと私に手を添えた。
「飛鳥さんは決して、湊海様を嫌いになったりなんてことはしません。大丈夫ですよ」
「……うん。ありがとう」
私はラブラモンの頭を撫でた。ラブラモンはいつも私の気持ちに添って話をしてくれる。……さすが、自慢のパートナーだ。
「よしっ! 今日は気持ちを切り替えて、楽しもうね!」
「はい!」