「アルマジモン、頼みます!」
「任せるだぎゃ!」
「デジメンタルアップ!」
伊織くんはデジヴァイスを掲げた。
「アルマジモン、アーマー進化! 鋼の英知、ディグモン!」
「どうして私たちは進化出来ないんだ!?」
ディグモンへの進化を見ていたテイルモンかそう叫んだ。
「僕たちだって、戦いたい!」
パタモンもそう訴えかける。
「このままでは、私たちは……」
ラブラモンはそう呟くと下を向いた。――せめて、進化さえ出来れば……。私はちらりとデジヴァイスの画面を見つめたが、やはり何の反応もしていなかった。
「この暗黒デジヴァイスがある限り、君たちは進化出来ない」
カイザーは黒いデジヴァイスを私たちに見せつけた。あのデジヴァイスのせいで、ラブラモンたちは……。私はカイザーを睨みつけたが、奴はニヤリと笑うだけだった。
「下僕たち、あの3匹を集中攻撃しろ!」
「ええ!?」
「何だって!?」
「何て事を……!」
カイザーのとんでもない発言に、私たちは思わず声をあげた。
ティラノモンは一斉に炎を吐き出し、ラブラモンたちを狙った。ラブラモンたちは逃げ回ったが、その先に別のティラノモンが待ち構えており、森の木に投げ飛ばされた。
「このままじゃ、僕たちはただの足手纏い……」
「悔しい……!」
「くっ……!」
ティラノモンはラブラモンたちを踏み潰そうと足を降ろす。それを何とか避けたものの、他のティラノモンが炎を吐いてラブラモンたちを追いかけていく。
「俺が相手だぎゃ!」
すると地面からディグモンがやって来て、ラブラモンたちを庇ってくれた。
「卑怯だぞ、デジモンカイザー!」
「卑怯? 勝ち負けに卑怯なんてあるもんか!」
カイザーは大輔くんにそう返した。
「このままじゃ、埒があかない! デジメンタルに勝負を賭けよう!」
「でも、誰のデジメンタルか分からない!」
「やるだけ、やってみるんだ!」
その大輔くんの言葉に伊織くんは駆け出した。
「テイルモン、デジメンタルを探そう!」
「パタモン、こっちに来るんだ!」
「ラブラモン!」
私たちがそう呼ぶと、ラブラモンたちは何とかこちらへ走り寄った。
「ここは俺たちが食い止めるだぎゃあ!」
そのディグモンの声を背中で聞きつつ、私たちは全力で走った。みんなが殆ど食い止めてくれたものの、1匹のティラノモンが私たちを追いかけてきた。
「エアーショット!」
パタモンが必殺技を放ったが、全く効いていない。流石に成長期じゃ敵わない、か――。
「ここは逃げよう!」
「レトリバーク!」
ラブラモンの必殺技でティラノモンが怯んでいるうちに、私たちは先へ進んだ。
「あの洞窟へ!」
その伊織くんの言葉に、私たちは先にあった洞窟へ逃げ込んだ。何とかティラノモンをやり過ごし、ほっと息をつく。
「あれは!」
すると突然、伊織くんが声をあげた。その視線の先を見ると、そこには金と白のたまご――いや、デジメンタルがあった。
「デジメンタルよ!」
「ということは、あのデジメンタルを持ち上げたらまた新しいデジモンが生まれるのかな?」
「でも、選ばれし子どもたちがいないわ……」
「僕たちじゃ、役に立てないんだね……」
ヒカリちゃんとタケルくんは眉を顰めた。――確かにここには、新しい選ばれし子どもはいない。私たちはまた、何もする事が出来ないのだろうか……。