私がしょげている間に、飛鳥くんたちはダークタワーデジモンに出くわしてしまったようだ。ロップモンは普通の進化で、トゥルイエモンになり、倒してくれたらしい。
「ごめんね飛鳥くん、トゥルイエモン。迷惑かけちゃって」
「僕も何も出来なかった。ごめんなさい」
私と賢ちゃんは飛鳥くんに謝った。賢ちゃんは謝る必要がないと止めたのだが、どうも気が済まなかったらしい。
「大丈夫だよ。トゥルイエモン、とっても強かったから!」
「そうよ、気にしないでちょうだい」
飛鳥くんとトゥルイエモンは笑顔でそう答えてくれた。
「さ、湊海。そろそろ帰ろうぜ」
飛鳥くんは私にそう促した。辺りはすっかり、日が暮れている。
「わかった。今日はありがとね、賢ちゃん」
「僕でよかったら、いつでも話を聞くよ。……大切な人と、仲良くね?」
「……うん」
私は小さく頷いた。――タケルくん、まだパソコン室にいてくれるだろうか。
現実世界に戻ると、窓の外の景色をじっと眺めているタケルくんの姿があった。
「タケルくん……」
「京さんたち、今日はもう帰ったよ」
タケルくんはこちらを見ずにそう説明した。やっぱりまだ、少し怒っているのだろうか……?
「そっか。じゃあ俺も先に帰るから。パタモンとラブラモン、送っていってあげる」
「ありがとー」
「ありがとうございます」
「え、あ、ちょっと!」
予想外の展開に、私は慌てて飛鳥くんを止める。ラブラモンたちまでいないなんて、聞いていないよ!
さすがの私も、喧嘩した後にふたりきりは気まずい。しかしラブラモンたちはひょうひょうとした様子で、飛鳥くんの腕に収まった。……いや、ラブラモンはいつの間にか準備していた、リードを付けていた。どういうことなんだ。
「じゃあまた明日な!」
「湊海様、また後で」
「あ、飛鳥くん! ラブラモン!」
飛鳥くんたちは風のように去っていってしまった。私はがっくりと肩を落とす。くそぉ……絶対事前に打ち合わせてたな……?