久々の進化


「湊海ちゃん、大丈夫かしら。ちょっと心配」

「俺だって心配さ……。あんな湊海、見たことないもの」

 復旧作業に向かう道中、俺とロップモンはそう会話を交わした。


「でもきっと、賢なら大丈夫。あいつ本当に話を聞くの上手いから」

「何となくわかるわ……。癒しオーラ出てるもの……賢って」

 ロップモンはくすくすと笑った。俺も釣られて笑う。癒しオーラか――。何となく、わかる気がする。
 湊海のことは気になるが、あくまでもタケルくんと湊海の問題みたいだし……。俺が深入りしても、事態を悪くするだけだ。やっぱり入り込みすぎない賢が、適任だと思う。


「それにしても、折れている木が多いわよねえ」

「そうだなあ」

 俺たちは森の中を歩いていた。森と言ってもカイザーが暴れた影響で、切り株になってしまっているところが多い。あの枯れている大木もそのひとつだろう。そう思っていたのだが――。


「ぐおおおおおお!」

 その大木は突然起き上がり、俺たちのことを襲った。

 
『うわああああ!』

 思わず叫び声をあげ、全速力で逃げる。あ、あれは一体何なんだ――!?


「あ、あ、れ! ウッドモンよ!」

「ウッドモン!? 悪いデジモンなの!?」

「少なくとも、所構わず襲いかかるような奴じゃないと思うけど!」

 俺はロップモンの発言に、キョロキョロと辺りを見渡した。――やっぱり、ダークタワーがない。じゃああれは……!


「ロップモン、あれはきっとダークタワーだ!」

「こんなところでも!? いい加減にして欲しいわね!」

「……久しぶりのあれ、いけるか?」

 俺がD-3を構えると、ロップモンはにやりと笑った。


「当たり前よ、任せなさい!」

 その瞬間、D-3が光を放つ。――久しぶりの、普通の進化だ!


「ロップモン進化ー! トゥルイエモン!」

 トゥルイエモンはウッドモンと向き合うと、腕を構えた。


「ダークタワーなら容赦しないわよ……巌兎烈斗!」

 トゥルイエモンはウッドモンに連続で拳を入れていく。そのうちに表面がはがれ、ダークタワーの面が現れる。そしてついに、トゥルイエモンはダークタワーを破壊した。


「やったな、トゥルイエモン!」

 俺は拳を空高くあげた。――やっぱり、トゥルイエモンは最高だ。あと、進化してもかわいい。



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