「賢!」
「賢ちゃん!」
「飛鳥さん……湊海さん……」
戦いが終わった後、私たちは賢ちゃんの元へ駆け寄った。どうやら飛鳥くんは、昨日河川敷で大輔くんと一緒に、賢ちゃんと話したらしい。そのとき、私たちに謝ることになったようだが、仲間に入るのは断ったみたいだ。
「伊織たちと一緒なのは……まだ難しいよな。それはわかる。でも俺は、違うでしょ。ずっと仲間だって言ったじゃないか!」
「……うん。ごめんなさい」
賢ちゃんは気まずそうに、飛鳥くんに謝った。
「一体どうしたの? 賢ちゃん……」
「この前、あの街に行ったとき……飛鳥さんたち、本宮くんたちと一緒にいたじゃない?」
「うん……」
私はこくりと頷いた。あの、スティングモンが伊織くんを助けてくれたときのことだ。
「そのとき、思ったんだ。やっぱり飛鳥さんと湊海さんは、僕と一緒にいるべきじゃないって。僕が縛り付けちゃダメだ……そう、思ったんだ」
「そんな……違うよ! 俺は、俺が賢と一緒にいたいから、いるんだ!」
飛鳥くんは首を横に振り、賢ちゃんの肩を掴んだ。賢ちゃんの瞳は迷うように左右に揺れる。
「私も……せっかく賢ちゃんと仲良くなれたと思ってたのに……。あんなこと言われたら、悲しくなっちゃうよ」
私の言葉に、賢ちゃんは顔を伏せた。――仲良くなれたと思ったのは私だけなんて、そんなのは……嫌だ。
「賢は俺たちと一緒なの、嫌か?」
「そんなことない!」
飛鳥くんの問いに、賢ちゃんは勢いよく顔をあげた。
「僕も久しぶりにすごく楽しいって思えたんだ。だから……」
「じゃあ、その気持ちを大切にしてよ、賢。俺、お前がいないと寂しいよ……」
飛鳥くんは困ったように賢ちゃんを見て笑う。私も頷き、賢ちゃんと向き合った。
「うん。大輔くんには事情を話してる。私が嫌なら、飛鳥くんとだけでもいい。貴方をひとりにしたくないの。ワームモンがいるのはわかってるけど……やっぱり、仲間も必要だと思うから」
「湊海さん……」
私がぎゅっと手を握ると賢ちゃんは少し考え込んだ様子だったが、いつものように笑いかけてくれた。
「……わかった。ごめんね。また一緒に折り紙しよう。飛鳥さん、湊海さん」
「うん!」
私たちは頷きあった。――やっぱり賢ちゃんには、優しい笑顔が似合う。