SOS


「珍しいわね、ふたりがあんな風になるなんて」

 廊下を早歩きで歩く私に、京ちゃんが声をかける。


「私は変わってないよ……。変なのは、タケルくんの方だ」

「うーん……まあ、そうかも」

 京ちゃんは少し考え込んだが、そう答えた。――あんなタケルくん、こっちこそ見たことがない。私タケルくんに何もしてないのに……何であんな言い方するんだろう。ちくりと痛む胸を抑え、私は教室へ戻った。



 翌日。パソコン室にいると、ミミさんからSOSがきた。私たちは急いでD-3を構え、デジタルワールドに向かう。


「デジタルゲートオープン! 選ばれし子どもたち、出動!」

 私たちはアーマー進化して、ミミさんの元へ向かった。


「ミミさーん!」

「ミミお姉さまー!」

「パルモン!」

 パルモンはミミさんに抱かれ、ぐったりしていた。


「何があったの!?」

「あいつが、ダムを壊そうとしているの!」

 ミミさんの指さす方を見ると、見慣れないデジモンがダムに登っていた。


「なんだ、あいつ!?」

「ゴーレモンよ! お願い、街を守って!」

 ミミさんと一緒にいた、ユキミボタモンたちがそう説明をする。


「街?」

「ダムが壊されたら、街が……!」

 ユキミボタモンたちに促され、左の方を見ると、街の風景が見えた。


「大丈夫、任せとけ!」

 大輔くんは立ち上がり、デジモンたちを振り返った。


「頼むぜ、みんな!」

「おう!」

 ムースモンたちは飛び立った。

 ペガスモンとネフェルティモンは、サンクチュアリーバインドでゴーレモンを固定する。その隙にムースモンたちが必殺技を放った。ゴーレモンからは煙が出ている。


「やったか!?」

 しかしゴーレモンはびくともしない。ぺガスモンたちは引っ張られ、ダムの壁に当たってしまう。


「ぺガスモン!」

「ネフェルティモン!」

 ライドラモンとムースモンが向かっていくが、ゴーレモンの背中から紫の煙が噴射され、地面に落ちてしまった。


「ライドラモン!」

「ムースモン!」

 シュリモンも立ち向かっていくが、拳を振られ、地面に落ちてしまう。


「シュリモン!」

 その隙にゴーレモンはダムに拳を振り上げた。


「ああ、まずいです!」

 そしてついに、ダムは決壊してしまった。ダムの穴からは勢いよく水が吹き出している。


「街があ!」

 私たちの目の前でも、川のように水が流れていく。ユキミボタモンたちの言うとおり、このままだと街が――!



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