メールを何度か交換して以来、私たちはデジタルワールドで会うようになった。賢ちゃんと会えるのは、復旧作業がお休みの土日だけだ。でも、それだけでも私は嬉しい。
土日は平日に出来なかったところを直しつつ、賢ちゃんとお話をしている。
「湊海さん、見て見て。ほら」
「うわあ、ラブラモンだ!」
休憩の時間、賢ちゃんは折り紙でラブラモンを折ってくれた。
「賢ちゃんは器用だね。私、ツルもまともに折れないよぉ……」
「湊海様、元気を出してください」
ツルを折るにも悪戦苦闘している私の横で、ラブラモンは綺麗なツルを折っていた。何なら足も生えている。どうなってんだ。
「練習したらきっと上手くなるよ。湊海さん」
「賢ちゃあああん!」
「わっ、もう湊海さんったら……」
私は賢ちゃんに抱きついた。どこかの大輔くんと一緒になってしまうが、仕方ない。泣きつかないとやってられないのだ。
「おいおい、俺も仲間に入れてくれよー」
飛鳥くんは折り紙で折った花を持ちながら、こちらに近づいてきた。私のものとは違い、とても丁寧に折られている。流石だ。
「飛鳥さん、やっぱり折り紙上手だね」
「よく妹とやってたからなあ……。はい、どうぞ」
飛鳥くんは賢ちゃんと私の頭に折り紙の花を乗せた。
「わあ、かわいい!」
「ぼ、僕はいいよぉ……」
「ははっ、賢も湊海も似合ってるぞ」
恥ずかしがる賢ちゃんの頭を飛鳥くんはわしゃわしゃと撫でた。確かに賢ちゃん、こういうの似合うんだよなあ。くっ……、負けてるかも……。
「湊海ちゃんとっても可愛いわ!」
ロップモンは目をキラキラさせながら私の方を見た。するとワームモンが対抗するように、賢ちゃんを指さす。
「賢ちゃんの方が可愛いよ!」
「はあ? 失礼な芋虫ね……。自分がブサイクだからって嫉妬してるんじゃないわよ」
「意味わかんない! 僕ブサイクじゃないし! とってもかわいいし!」
「ふーん」
「うえええええん!」
「ろ、ロップモン……」
ロップモンの鋭い物言いに、ワームモンは泣き出してしまった。ラブラモンが苦笑いでロップモンを見つめた。それにしてもブサイクって――。せめてキモカワとかそういう風に誤魔化せば……あ、これも中々ひどいな。
「こら、ロップモン! ワームモンいじめちゃダメだろ!」
「ブサイクなのは本当でしょ」
「ひどいよおおおお!」
飛鳥くんがロップモンを叱ったが、つんとした様子でさらにワームモンを畳み掛ける。見慣れるとワームモンも結構可愛いのだけど。感性の差かしら。
「ある意味仲良いね、ロップモンたち……」
「う、うん……」
私たちは苦笑いで、ロップモンとワームモンたちの様子を見つめていた。ある意味本音を言い合える仲、なのかな?
「賢ちゃん、また来週も折り紙教えてね!」
「……僕でよかったら、喜んで」
私がそうお願いすると、賢ちゃんはふわりと微笑んだ。――やっぱり賢ちゃんは、可愛い。