サヨナラ、賢ちゃん…

 目を細めつつ見てみると、そこにいたのは今まで出会ったことのないデジモンだった。どうやら、ブイモンがアーマー進化をした――マグナモンというらしい。すると動力室からの光を浴びたウパモンたちが、わたわたと騒ぎ出した。


「ち、力が……!」

「力が戻って来たがや!」

 そう言うと、ポロモンとウパモンは成長期へと進化した。やっぱりあれは、特別な力なんだ――!


「何あれ……! あんなデジモン見たことないわ!」

 京ちゃんが呆然とした様子で呟く。


「新しい、アーマー進化……!?」

「いや、だって……受け継ぐ紋章はもう無いはずだよ!?」

 伊織くんの発言に、タケルくんは首を横に降った。確かに私たちの中では全部、紋章を受け継がれている。


「いつもとは違う、なにか特別な進化なのかも……!」

「私もそう思う……。だって、とても綺麗だもの」

 私はヒカリちゃんの言葉に頷き、動力室のあった場所を見下ろした。マグナモンからは聖なるものを感じる。今までのアーマー体のデジモンとは違う、特別な何か……。一体どうやって出来たのだろう。


「お前たちは、どこまで僕の邪魔をすれば気が済むんだ!?」

「デジモンカイザー……一乗寺賢! 俺たち、決着をつけるときが来たんだよ!」

 カイザーと大輔くんはぎっと睨み合う。賢ちゃんが間違ったことをする限り、私たちは戦わなければいけない。――絶対に。するとそのとき、動力室の下の方から爆発音が聞こえた。


「闇の力が……!」

「戻って来た……!」

 ヒカリちゃんとタケルくんが不安そうに呟く。マグナモンの光が収まったのと同時に、壁を壊し、キメラモンがやってきた。


「キメラモン……!」

 カイザーは嬉しそうにキメラモンを呼ぶ。


「大輔、飛鳥!」

 キメラモンは大輔くんと飛鳥くんの方目掛けて床を突き破る。マグナモンは2人を抱え、転がりこんだ。ロップモンもタイミング良く、マグナモンの頭に乗る。


「大輔、ここは俺たちに任せて!」

「ああ、わかった! こんなことはもう、今日で終わりだあああ!!」

 大輔くんが拳を握ると、叫びながら通路へ向かっていった。


「僕たちも行こう!」

 タケルくんに頷き、私たちも大輔くんたちの向かう方へ走り出す。


「みんなー!」

「大丈夫だったか!?」

 その声に、私たちは後ろを振り返った。


「大輔くん、飛鳥さん!」

 すると大輔くんたちの真後ろの壁が崩れ、キメラモンの体の一部が食いこんだ。


「うわっ!」

 どうやらマグナモンが戦ってくれているらしく、衝撃音が聞こえてくる。


「もうあまり時間がないわ! 要塞が、ゆっくり落下を始めている!」

「急がんと、カイザーの奴逃げてまうがや!」

「よし、行こう!」

 テイルモンとアルマジモンの言葉に、大輔くんが頷く。私たちは再び走り出した。



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