合成魔獣キメラモン

 私たちは大輔くんと合流し、カイザーの基地を見つけたことを伝えた。


「まさか空にあるなんてなあ……」

 大輔くんは空を見上げながら、そう呟いた。今はもう移動してしまったため、カイザーの基地はない。移動速度は早いわけじゃなかったから、探せばきっと見つけることはできるだろう。


「今日はもう遅いし、明日探そう」

「ええ!」

 タケルくんの提案に、私たちは頷いた。


「よーし。じゃあもう寝ようぜ。俺くったくたー」

「俺も……」

 大輔くんはいそいそと寝袋の準備をした。どうやらよっぽど疲れたらしい。ブイモンもあくびをしながら、地面に座り込む。


「私たちも準備しようか」

「うん」

 あのときの冒険は寝袋なんてなかったから、やっぱり全然違うな。食べ物だって持ってきているから、困ることもないし。でも――。私は寝袋の中に入り、ごろんと寝転んだ。この満点の星空は、3年前を思い出す。デジタルワールドの空は、やっぱり綺麗だ。東京じゃあこうはいかない。


「湊海」

 みんなが寝静まった頃、飛鳥くんが私を呼んだ。


「ん?」

「……綺麗だね。空」

「だね」

 飛鳥くんは上をじっと見つめていた。


「……賢も、見てるかな」

 ――その小さな呟きに、胸がきゅっと締め付けられる。飛鳥くんにとって、カイザーは……賢ちゃんは、大切な仲間だ。飛鳥くんが私たちに加わったのも、賢ちゃんを助けるため。一体どんな思いで、カイザーの行動を見ているのだろう。私たちのカイザーへの憎しみを、受け止めているのだろう。表には出していないけど、飛鳥くんはとても苦しい思いをしてる。賢ちゃんのことを、思い続けている。
 私は飛鳥くんから目を逸らし、空を見上げた。


「……きっと、見てるよ。見ないと勿体ないもん。もし見てなかったら教えてあげればいいんだよ。上を見て。星が綺麗だよって」

「……うん」

 気づいてよ、賢ちゃん。貴方を思いやる人は、ちゃんとここにいるのに。私はぎゅっと目をつむった。飛鳥くんの思いを、ちゃんと受け止めて――。




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