呼び出し


「では、私は夕ご飯を食べて参ります」

「おっけー。終わったらお風呂入ろうね」

 家に着くと、ラブラモンはダイニングに食事をとりにいった。私はもうご飯を食べ終わっているので、自分の部屋で適当に時間を潰すことにした。
 しばらくパソコンを弄っていると、光子郎さんに言われたことを思い出す。そういえば、ゲートを開く実験をして欲しいって――。別に今行くことはないが、開くくらいはしてもいいだろう。
 そう思った私はゲートの画面を開き、D-3を構えた。


「デジタルゲート、オープン」

 パソコンの画面を見ると、先ほどと同じように、ゲートはしっかりと開いていた。


「おお、本当に開いてる……」

 思わず独り言を呟いてしまう。D-3、なんて便利なデジヴァイスなんだ。――そのときだった。D-3が激しく反応をし始めたのは。


「うわっ、え? なに!?」

 慌てて何とか止めようとするが、治まる様子はない。他のデジヴァイスの反応でも、デジメンタルの反応でも、ましてやSOSの反応でもない。どうしたものか――。私は急いで、ラブラモンの元へ向かった。


「どうされました?」

 丁度食べ終わり、洗い物をしていたラブラモンは、きょとんとした目で私を見つめた。


「D-3が急に鳴り出して……」

「え?」

 ラブラモンは驚いた様子で、D-3を見た。未だに、反応は全く治まらない。ラブラモンはお皿を拭き終わると、神妙な顔でこう呟いた。


「……もしかすると、デジタルワールドに呼ばれているのかもしれません」

「そうなっちゃうよね……」

 私とラブラモンは顔を見合わせた。今日はお父さんもお母さんも早めに寝てしまったので、ダイニングにいるのは私たちだけだ。それなら――。


「……もうこんな時間だし、私たちだけで行こう。みんなデジタルワールドに行って、疲れてるよ。きっと」

 私の言葉に、ラブラモンは苦笑いを零した。


「……危なくなったら、皆さんに連絡すると約束するなら、お供しますよ」

「了解!」

 こうして、私たちはデジタルワールドに行くこととなった。現実世界とデジタルワールドの時間経過が一緒になった今、夜のデジタルワールドに行くのは久々である。
夜になったのは、ヒカリちゃんを助けに行ったときくらいだろうか。それでも、今よりは早い時間だったし。


「……じゃあ行くよ、ラブラモン」

「はい!」

 ラブラモンが頷いたのを確認して、私はD-3を構えた。――デジタルワールドで、一体何が起きているといるのだろう。





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