想いの先には

 私たちは場所を変えて、ヒカリちゃんを呼び続けた。

「ヒカリさーん!」

「ヒカリちゃーん!」

「ヒカリー!」

 空はもう、夕焼け色になっている。もうこんな時間――早くしないと……。そう思ったときだった。


「あれは……!」

 ラブラモンが指をさした先には、謎の光が浮かんでいた。その中には、ヒカリちゃんの姿も見える。もしかしてこれが、次元の繋ぎ目……!?


「ヒカリちゃん!?」

「……行こう、タケルくん!」

 私はタケルくんに手を伸ばす。タケルくんが手を取ったのを確認して、光に向かって飛び込んだ。


「想いが、世界を繋ぐ!」




 変な電子空間を通り、私たちは地面に着地した。着いた先は全体的に空気がどんよりしており、どことなく寒気がする。


「ここは……普通のデジタルワールドじゃない!」

「ええ……。不穏な気配が随所に……」

 テイルモンとラブラモンがそう呟く。下をみると、海辺が見えた。これはまさか、黒い海――? と、なると、ここにいるのは……。


「湊海お姉ちゃん、タケルくん、テイルモン!」

 ヒカリちゃんが手を振りながら、走り寄ってくる。私は思わず笑顔になった。


「ヒカリちゃん!」

「助けに来てくれたのねー!」

「そうさ!」

 タケルくんはにこやかに返事をした。しか上空には、エアドラモンが居座っている。


「行くよ、パタモン!」

「うん!」

 タケルくんはD-3を高く掲げた。



「デジメンタルアップ!」

「パタモン、アーマー進化! 天翔る希望、ペガスモン!」

 ペガスモンはタケルくんを乗せ、エアドラモンに向かっていった。


「私たちもサポート、行くよ!」

「お任せください!」

 私とラブラモンは頷き合った。ここから抜け出すには、まずあのエアドラモンを――!


「デジメンタルアップ!」

「ラブラモン、アーマー進化! 誇り高き慈悲、ムースモン!」

 私もムースモンの背中に乗り、ヒカリちゃんの元へ向かう。その間にもぺガスモンはエアドラモンと戦っていた。


「ハンギョモン!」

 ヒカリちゃんの悲痛な叫びが聞こえる。エアドラモンの攻撃が当たり、海辺にいるハンギョモンたちが何体か消えてしまった。


「くっそおおお! ペガスモン!」

「ニードルレイン!」

「ホーンブレード!」

 ペガスモンとムースモンの必殺技を食らい、エアドラモンは下に落ちていった。


「ヒカリ、私もアーマー進化を!」

「わ、私D-3を……ランドセルの中に……」

「そんな……!」

 どうやらヒカリちゃんはD-3を置いてきてしまったらしい。テイルモンもいない、D-3もない、そんな状態でここまで来たのか――。思わず身震いがする。良かった、合流できて……。


「ぺガスモン!」

 テイルモンはそう叫ぶと、ぺガスモンに飛び乗った。


「ペガスモン、あの灯台を破壊するの! あれが私たちの力を奪ってる!」

「わかった!」

 ぺガスモンは頷き、しっかりと灯台を見据える。


「やるぞ、ペガスモン!」

「シルバーブレイズ!」

 ペガスモンの攻撃で灯台を破壊すると、ダークタワーが姿を現した。


「あんなところに……!」

 こんなところまで、カイザーは侵略していたのか――。拳をぐっと握る。別にヒカリちゃんがここに来たのはカイザーのせいではないだろうが、気分は良くない。
 ダークタワーはぺガスモンの攻撃でだいぶダメージを喰らったようで、そのまま崩壊していった。すると、その上から桃色の光が降ってきた。見てると暖かい気持ちになる、神聖な光だ。まさかこれは――。



108

前へ | 次へ



[戻る]

想いの先には

人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -