本当の気持ち

「メタルグレイモン、すまない! でも今はこうするしかないんだ!」

「大輔、頼む!」

 太一さんは振り向くと、大輔くんを呼んだ。


「大輔、戦わないのか? 大輔!」

「だってあれは、太一さんのアグモンなんだ……!」

 フレイドラモンの呼びかけにも、大輔くんは応じない。


「大輔くん……」

 するとそのとき、フレイドラモンが急にブイモンへ退化してしまった。



「ああ……! 俺、俺……!」

 するとそのとき、メタルグレイモンの腕が、2人に向かって放たれる。間大輔くんたちは間一髪のところで、なんとか避けた。


「大輔、どうするんだ! このままメタルグレイモンからずっと逃げるの!?」

「ダメだ……このままじゃ、このままみんなやられる……!」

「そんなこと絶対ない! ガルルモンを、アグモンを信じるんだ!」

 その太一さんの言葉に、大輔くんは目を見開いて顔を上げる。


「信じる……」

「アグモン、かかってこい! お前のイービルスパイラルを、必ず外してやる!」

「ヤマト、ガルルモン、頼む!」

 ヤマトさんとガルルモンは意気込み、イービルスパイラルを壊そうと試みる。そのとき、メタルグレイモンがブイモンを踏み潰そうと、足を高くあげた。


「危ない!」

 しかしギリギリのところで、パタモンがブイモンを掴んで飛び立つ。パタモンはフラフラしながらも、何とかブイモンを地面に着地させた。


「ブイモン、頑張って……!」

「パタモン……!」

「大輔くん、僕たちのことはいいから、君はメタルグレイモンに行け」

「タケル……!」

「私がタケルくんとパタモンの傍にいるから! ね?」

「湊海ちゃん……」

 私はにこりと笑い、大輔くんの背中を押した。頑張って、大輔くん――。大輔くんは眉を歪ますと、目をぎゅっと瞑り、こう叫んだ。



「ちくしょう……俺って情けねえええええ!」

 その瞬間、大輔くんのD-3が青い光を放つ。その眩しさに私たちは一瞬目を瞑った。


「なんだ……!?」

「大輔さんのD-3に反応が!」

 そして大輔くんの目の前には、先ほどのデジメンタルがふわふわと飛んでやってきた。


「さっきのデジメンタルだ……。大輔、大輔のデジメンタルだったんだ!」

「俺の、デジメンタル……」

 大輔くんは、ひどく驚いた様子で、デジメンタルを手に取った。どうやら飛鳥くんの言った通り、さっきは覚悟が定まってなかったみたいだ。良かった。デジメンタルが大輔くんの気持ちに応えてくれて。


「大輔さんは既に、勇気のデジメンタルを持っています! デジメンタルがふたつ、大輔さんのものだとしたら、一体どういうことなのでしょうか!?」

「ブイモンは、また違う進化できるのか……?」

 伊織くんはタケルくんと私の方を向きながら、そう疑問を投げかける。飛鳥くんは顎に手を当て考え込んでいた。――細かい理屈は分からないが、大輔くんは勇気と友情、ふたつの個性を継げる人物だということには、違いない。


「大輔!」

「よし、やってみよう!」

 大輔くんはデジメンタルを力強く握った。


「デジメンタルアップ!」

「ブイモン、アーマー進化!
轟く友情、ライドラモン!」

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