救世主

 何かがカイザーに飛びかかったと思うと、イービルスパイラルとフライモンのリングを一気に破壊した。


「なに!?」

「ガルルモン!」

「事情はテントモンから聞いた」

 どうやら、あれはガルルモンだったらしい。ガルルモンはヤマトさんたちの前に降り立つと、そう説明した。そのまま口を開くと、中に入れていたパタモンをそっと、タケルくんに渡した。


「ガルルモン、ありがとう!」

「大丈夫か、パタモン?」

「ちょっと痛いけど大丈夫。心配かけてごめんね」

 パタモンは弱々しい様子だったが、大きな怪我はしていないようだ。良かった……。


「タケルは自分を危険に晒してまで、パタモンを守ろうとした……」

「大輔、俺に何かあったら守ってくれるか?」

「え?」

 そんなパタモンを見ていたフレイドラモンは、大輔くんにそう問いかけた。


「あ、ああ、多分……」

 しかし大輔くんは、いつになく自信なさげに答えを出す。どうも今日は、大輔くんの調子が良くないみたいだ。


「多分? 多分なのか? 絶対って言ってくれ!」

 フレイドラモンは懇願するように叫んだ。しかし大輔くんはそれ以上は何も言えない様子だった。


「よくもふざけた真似を……! この僕を本気で怒らせるつもりか? お友達と仲良く友情ごっこもこれまでだ。メタルグレイモン!」

 その間にも、カイザーの怒りは収まらない。パタモンを取り返されたのがよほど不服なようで、メタルグレイモンに命令を出した。――来る。


「ちくしょう……絶対取り戻してみせるからな!」

 太一さんが憎々しげに叫ぶ。


「俺たちが、メタルグレイモンのイービルスパイラルを外してみせる!」

「正気を取り戻すんだ!」

 ヤマトさんはガルルモンの上に乗り、メタルグレイモンをじっと見据えた。
ガルルモンが駆け寄っていくと、メタルグレイモンは躊躇なく踏み潰そうととした。その目には敵意がこもっている。


「俺がわからないのか!」

 メタルグレイモンの攻撃を避けつつ、ガルルモンが問いかける。


「ガルルモン、あのイービルスパイラルを壊さなくちゃダメだ!」

「しかし、メタルグレイモンに向かって攻撃することになる!」

「やるしかない、手加減するな! 本気でやらないと共倒れだ! いいな太一!」

「頼む!」

 ヤマトさんの言葉に、太一さんはしっかりと頷いた。


「そんな……!」

 そんな2人の様子に、大輔くんは動揺しているようだ。――でもここは、もう迷えない。


「ラブラモン!」

「ええ!」

「僕たちも、加勢します!」


 私はラブラモンと目配せをした。ヒカリちゃんと伊織くんも、同じようにD-3を構える。アグモン、待っててね……!


『デジメンタルアップ!』

「ラブラモン、アーマー進化! 誇り高き慈悲、ムースモン!」

「アルマジモン、アーマー進化! 鋼の英知、ディグモン!」

「テイルモン、アーマー進化!
微笑みの光、ネフェルティモン!」

「ホーンブレード!」

「ゴールドラッシュ!」

「ロゼッタストーン!」

 ムースモンたちは、一斉に攻撃をしたが、メタルグレイモンは全てかわしてしまう。やはり、完全体は強い。


「テンペストウィング!」

 続けてホルスモンも必殺技を放ち、イービルスパイラルを狙うが、メタルグレイモンの胸に直撃した。
メタルグレイモンは苦しそうに声をあげる。


「はっ、しまった!」

「いいんだホルスモン、気にしないでくれ!」

 ホルスモンは顔を歪めたが、太一さんがフォローをする。
その間にガルルモンがメタルグレイモンの腕を駆け上がり、はめられているイービルスパイラルに噛みついていく。しかし、メタルグレイモンと黙っていない。腕を振り払い、ガルルモンを落下させる。


「フォックスファイヤー!」

 そこですかさず、ガルルモンが必殺技を放っていく。しかしメタルグレイモンが避けたため、腕ではなく胴体に当たってしまった。





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