◇ 買い物行こうぜ! 02






「で、吹雪、何だその格好は」
「え、変かな? いつも着てる服なんだけど・・・・・・」

 いや、変というか何というか、正確に云えば、直視できない。隣で立っているヒロトもさすがにフォロー出来ないらしく、苦笑いを浮かべている。
 朝、吹雪に呼ばれて彼の部屋を訪れた俺たちは、壮絶な現場に立ち尽くすしか無かった。

「とりあえず持ってきた服全部見せろ」
「そうだね・・・・・・、オレたちがコーディネートしてあげるからさ」

 何だその見事にダサい格好は。そんな服で隣を歩かれたくないぞ、俺。そう感じたのは俺だけでは無かったようだ。ヒロトもまた吹雪の部屋に入り込み、服をベッドの上に広げる。
 小学生が着ているようなプリントTシャツはまだ許してやる、色褪せたジーンズの裾が足りてないのもまだ許容範囲だ。だけど、その上着は何なんだ? せめてサイズくらい合わせてくれ!

「それをおかしいと思わないお前が、俺は怖い」
「同感かも」

 きょとん、として俺たちの顔を見つめる吹雪に俺はヒロトと顔を見合わせて、溜息を吐いた。






 とりあえず吹雪には俺のパーカーを貸してやることで事なきを得た。後は今日見繕ってやろう。とりあえずジーンズは買う。絶対に買う。今時あんなの履いてるやつ、初めて見た。

「揃ったか?」
「まだだ。円堂が来ていない」

 合宿所の玄関で集まったメンバーの顔を確認する。豪炎寺の云う通り、確かに円堂の顔が見えない。あいつが遅刻するなんて珍しいな、そう思った時。

「風丸ー、みんなー! 行こうぜ!」
「待って円堂くん」
「・・・・・・何でお前はジャージなんだ、円堂」

 駆けてきた円堂が靴を履こうとするのにストップをかけるヒロト。考えたことは皆、同じのようで、鬼道が突っ込んでくれた。

「え、だって楽じゃん」
「そういう問題じゃないだろ・・・・・・」

 あっけらかんと答える円堂に突っ込んだのはきっと俺だけじゃない。そうだ、俺だけじゃない。

「円堂、ちょっとこっち来い」
「ああ風丸、頼んだぞ」
「本当は頼まれたくない・・・・・・」

 円堂の腕を掴み、ずるずると部屋の方へ引きずっていく俺の耳に豪炎寺の掛け声が響いた。円堂、せめて吹雪みたいに俺に相談して欲しかった。






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