「いつってさっきだよ」

・・・あれ、ユーリさんもしかしてエスパーですか?
すると口に出てたぞ、と言われた。
と、ユーリさんがそう言うのと同時にすでに出来上がっているトリュフをつまんで食べられた。


「あっ・・・」

「ん、ごちそーさん」


そう言うと窓に足をかけて外に出ていった・・・。
そういえばユーリさんは何をしに来たのだろうか・・・。

そのまま帰るのかと思いきや、あ、とつぶやいてこちらを振り向いた。


「本番はもっと甘くしとけよ」

「・・・?」

「チョコ」

「!?」


そう言うとじゃーな、と言って去って行った。
え?私ユーリさんにあげるって言ってないよね?
というか、これって渡したらもらってくれるのかな?






チョコの日




バレンタイン当日、チョコを持ってユーリさんの姿を探していると、案の定ユーリさんはたくさんの女性に囲まれておりました。

あのたくさんの女性の間をぬって渡しに行くという勇気を持ち合わしていない私は例年通り来た道を引き返しました。
するといきなり腕をつかまれました。
誰だろうと見てみるとそれはユーリさんで。わぁびっくり。


「おい、なんで帰ろうとしてんだよ」

なんて不機嫌そうな声でそう言ってます。

「いや・・・、私にはあの人だかりの中を行く勇気はありませんから」

「・・・あぁ、確かに」


あ、少し遠い目をしてる。


「それに・・・」

「それに?」

「あれだけチョコくれる人がいるなら私のいらないかなぁ、って思って・・・」

「・・・ばーか」


そう言うと私の頭を乱暴に撫でてきた。
あぁ!髪の毛ぐちゃぐちゃになる!(←


「チョコ、甘くしたか?」
「へ?あ、はい。ユーリさんの言う通り、甘くしました・・・よ?」


?いきなり何を・・・?


「いらないなんて思ってたら、んなこと言わねぇよ」


・・・。ということは、


「チョコ、もらってくれるんですか?」

「あたりまえだろ。んで、チョコは?」


もしかしてないのか?とでも言わんばかりにこちらを見ている。


「ちゃんとありますってば。はい、どうぞ」



今年、私は無事チョコを渡すことに成功しました。




(・・・意外です)

((もぐもぐ)何が?)

(甘いの、好きだったんですね。苦いのとか好きそうなイメージだったので、すごい意外です)

(・・・俺のイメージってどんな?)

(ブラックコーヒーとか平気で飲んでそうな)

(・・・)

(・・・飲めないんですか?)

(・・・)








あとがき


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