05


だらだらと話していると彼が思い付いたように声を上げる何事かと目を向ければ、帰りにアイスやさんに寄っていこうと誘われたので丁重にお断りしておいた。どーせ奢らされるのがお決まり、だ。


「今回は俺がおごってやるけ、行くぜよ」
「冗談キツいよ、におー」
「ほんとに奢ってやるけ」


じゃあ証拠見せてよ、と彼に向かい直ると案の定困った表情の仁王。証拠見せろだなんて普通無理だよね。俺を困らせるのが得意じゃな、と苦笑いする彼は顎に手をやり考える人のようなポーズを取り出した。


「ど?答えは出た?」
「そうじゃなぁ…じゃあ指切りでもしとくか」
「はい?」


にかーっと女の子達が一瞬でメロメロになりそうな笑顔でピンと立った小指を前に出され、思わず間抜けた声が出てしまった。ちょいとお待ちよ仁王くん、あんたいくつだよ。しかも詐欺師ってあだ名ついてるあんたなんて信用できるはずないじゃん。ってかこの台詞何回言った?


「けちー」
「どこが」
「全部」
「ふざけんな」


軽く頭を叩いてやれば、折れるはず無いのに折れた!と涙目になる彼。マジで腹立つんだけど。そんなんで折れる頭ならあんたとっくに死んでるからね。正論を言ってやればふてくされたように唇を尖らせてつまらん、とそっぽを向く。そんなんやられても全然可愛くないしムカつくだけだし。腹立って仕方ないからマジでやめてくない。


「そりゃ、すいませんでした」


逆に面白い反応ってなんなんだよ。とツッコミたい衝動にかられつつもそこはスルーで嫌みを言ってみた。


「おー。だからアイス屋行くの付き合え。」
「うわ、はめやがったなこの野郎」
「口悪いぜよ。」


流石ペテン師さいてーと棒読みでいいつつなんだかんだいってこのあとは暇なので付き合ってやることにした。私ってばやっさしー


「どこがじゃ、暴力女」
「んだと白髪頭」
「違う、オシャレ」
「似非訛り」
「うっせ」


大体本当に優しいやつは最初から付き合ってくれるナリ。とぶつくさ言ってる割には顔は笑顔だったので、もう一回叩いてやろうかと思ったけど止めといてやる。


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