03

「今日の1限ってなんじゃったっけー?」
「現社じゃ無かった?」
「馬鹿、体育じゃ。」
「なんだ、知ってたの?」
「またお前さんに詐欺られるところだったナリ」
「仁王って相当うざキャラだよね」


酷い言い様、と爆笑する彼につられ笑いそうになる。ああもう、本当仁王って私のペースを狂わせるのが得意なんだから。お互い負けず嫌いだから、どんな小さなことでも相手を騙して嘘を重ねる。もちろん、その内容は明らかな嘘から巧妙な嘘まで。とはいっても、お互い慣れているから時間が立てば分かってしまう様な嘘しか付けないのだけれど。


「そういや、お前さんこの間呼び出されとったよな」
「…誰に?」
「覚えてるくせに。」
「記憶から抹消しました。」


どうせいつもの告白じゃろ。と嫌な笑みを浮かべる彼。彼の言う通り、この間隣のクラスの男子生徒に告白をされたが、丁重に断っておいた。


「また、騙したのか?」
「もう、仁王には関係ないでしょ」
「あーる。ライバルとして相手の行動は把握しておかなきゃならんのじゃ!」
「めんどくさー!て言うかなんで敵に塩を送るような事しなきゃいけないのさ」
「敵なんかじゃない。仲間であり好敵手でもある良い関係じゃ」


良くそんな恥ずかしい事嘘でも言えるな。ため息交じりに吐きだした言葉の後、私は静かに席を立ち、仁王を教室から連れ出して屋上へと場所を変えようと提案した。


「教室じゃ言えないような嘘ついたんか?」
「な訳無いでしょ。どーせ一限サボるなら、屋上のが良いと思って。」
「なる程。ってお前さんまた体育サボるんか?」
「仁王もじゃん」


俺は平気だから良いナリ、と唇を尖らせ言う彼はまるで子供の様だ。


「馬鹿じゃん?」
「馬鹿じゃ無い」
「…馬と鹿じゃん?」
「言い方変えても違う」


あっそ、つまんないの。
清々しい青に染まっている空を見上げながら言うと、いつの間にか隣に居たはずの仁王は、日陰に移動していた。


「お前さんもこっち来んしゃい」
「仁王って本当に涼しい所見つけんの得意だよね」
「楽じゃろ?」
「まぁね。」


お隣失礼、と告げてから隣に腰掛けると何故か不満気な顔の仁王。何?なんかした?


「違う、膝の上じゃ」
「脳みそ溶けた?」
「溶けとらん」


うっそつけ。最近仁王の嘘って、こんなんばっかな気がする。もういい加減にして欲しいんだけど。


「お前さんの苦手なジャンル攻めじゃ」
「本当に、階段から落ちれば良いのに。」
「ちょ、冗談でも押すのやめんしゃい!わかった、悪かった!謝るから落ち着くナリ!」


私は元から冷静なつもりだけど?と首を傾げながらワザと真顔で言ってみる。


「とんだ虐めっ子じゃのう。」
「うるさい。仁王が変なこと言うからじゃん」
「変な事じゃない。本気じゃ」


またまた。そうやって騙そうとしたって駄目ですよ。嘘の中で生きてきた私には通用しません。そんな詰まんない嘘ばっかだと本当突き落としちゃうぞー。


「ちょ、まじですまん!」
「良いよ別に」
「嘘だ、思って無い!」
「思ってるよ。ほら、」
「目が笑って無いんじゃああああ!」


ぎゃあぎゃあと喚く仁王。うるさいなー、本当に落とす訳無いじゃん。もういっそのこと本当に落としてやろうかな。なんて意地の悪い考えが頭をよぎるが、仕返しがきそうなので止めておいた。


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