04

「問題はこれからどうするかじゃな。」
「うーん。そうだよね…。」


幸村には困ったもんじゃ、と彼は言うけど本当に思ってるのか怪しい。まぁ、確かに彼の言う通りだ。時既に遅し、って奴なのは理解してるけどもう少し何とかならなかったのかと思う。学校中に私は部長さんの彼女って事になってるんだとしたら、今更何をしても遅いような気がしないでもない。部長さんは本当に厄介だ。なんならいっそのこと、学校なんて辞めてしまおうか。


「おい」
「冗談。」


冗談に聞こえない、とどやされ苦笑する。流石に学校やめるほどの事でも無いけど、あんまり酷いのなら思い切ってやってしまいそうだ。学校に行かなくなって心配する人もいない私は、別に学校やめたって何ともないのだけれど。とは言え、いつか一人暮らしをする予定の私にはそれなりのお金が必要だし、仕事もしなくちゃいけない訳で。今の時代高卒でやっていける仕事にろくなの無いし、できれば大学行きたいと思ってる。だから学校をやめるって選択は、私の中で0に近いのだ。一息で言いたい事を纏めて言うと、彼は呆れた様な安堵したような息を零す。


「そこまでせんでも、幸村だって無茶はせんじゃろう」
「分かんないじゃん?あの人の事だし」
「…否定はできんのう…」


なんたってこんな事しちゃう部長さんだしね。と、言いつつ元々は私が興味本位で承諾してしまったのがいけなかったと本当は分かっている。こうも面倒な事になるとは思って無かっただけに今回のあの浅はかな考えは痛かった。もっと考えて行動するべきだった。出来る事ならばあの時の私を殴りたい。あの時彼に耳を傾けるべきでは無かったのだよ、自分。


「後悔は何にもならんぜよ」
「知ってるけどさ。」
「とにかく幸村の手の駒になるつもりは無いんじゃろう?」
「勿論。」


だったら簡単じゃ。なんて静かに言う彼に思わず息を吐きそうになる。簡単?そんな訳無いじゃない。厄介だと数秒前言っていたのはどちら様でした?嫌みを込め言葉を吐きだす。ふっと息を吐く声が電話越しに聞こえる。


「これ以上関わらん様にすればええ。」


だから、それが出来ないからそう言ってるんじゃない。とつい感情的な言葉が出そうになるが、唇を噛み締め抑える。仁王に言ったって何の意味も無い。こんな言葉はただの責任転嫁だ。


「…具体的にどうするの?」
「女子がねたんできた所に別れたって片っ端から言って行くしかないじゃろ。」
「…そんな方法で納得すると思う?」
「思わんが物は試しじゃ。やってみる事に価値があるってな。」


適当だなぁ、と思いつつ深く考えすぎも良くないと諭されたような気分になり何とも言えなくなってしまった。仁王の言った通り、物は試しだ。相手の出方を見て判断するしかない。


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