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放課後の生徒指導室。本来こんな所無縁であろう彼、手塚国光が此処にいるのは恐らく私のせいだ。


「先生、いい加減俺と付き合いましょう」
「意味が分からないし、生徒と付き合うなんてそんな事出来ないわ。」


4月。
勉強を死ぬほど頑張って、教員免許を取り。
晴れてこの春、私は高校の教師へとなる事が出来た。

小学生の時から先生になりたくて、中学も高校も本当に勉強漬けだった。
遊びも恋愛も、本当はしたかったけど、それ以上に先生になりたくて頑張った。

そして新米教師として青春学園へとやってきた。この学校は、何でもテニスで有名の学校らしい。それに頭の良さも中々のレベル。

きっといい子たちがたくさんいるに違いない…!

そんな期待を膨らまして学校へとやってきた私を待ちうけて居たのは、あまりにも酷い現実だった。


「先生、しようよ」
「もう手塚くん、どっか行ってくれないかな。」
「先生とヤるまで帰らない」
「可哀相に、一生家には帰れないのね。」


この手塚国光と言う男は、私が副担任を持っているクラスの生徒だ。
頭も良く、スポーツもできて顔も中々のイケメンだ。
容姿端麗、文武両道。その言葉をそのまま人間にしてみると手塚君になるんじゃないかってくらいにその言葉がぴったり当てはまる。

しかし何故そんな男がこんな風に私に言い寄って来るのか。それにはきちんとした理由があるらしい。初めに会った時、自分の事を覚えていないかと聞かれ、素直に覚えていない。と答えたら、次の日から5月になった今までこんな態度になってしまっている。だって本当に覚えて無いんだから仕方ないじゃない。それよりこの手塚君の態度の変わりように私は大きなショックを受けてるんだけど。

生徒会長でテニス部部長の手塚国光が、教師捕まえてヤらせて、なんて毎日言って来るんですよ。まぁ、高校生だし?やりたくなるのも、分からなくも無いけどさ。君くらいの人なら何も教員の私じゃ無くても、もっといっぱいいるでしょ。例えば同じクラスの田中さんとか。


「…フった。」
「えぇー!あんなに可愛いのに!ミス青学だよ!?」
「俺は先生にしか興味無い。」
「…あぁ、そう。」
「ときめいた?」


違います。呆れてるんです。
彼は私がどこで会ったか思い出してくれるまで、私から離れるつもりは無いようで、毎日放課後になると、どっから聞き出して来るんだか、必ず私に会いに来てこうして無茶苦茶な事を言ってくる。


「大体、手塚君は部活どうしたの?」
「自主トレ中」
「何のトレーニングよ、サボってないでさっさと部活行きなよ。」
「ねぇ、先生。」
「もう、何?」
「俺の事名前で呼んでよ」


全くこの子は何を言い出すんだか。やけにニコニコしている彼に向って仕方ないので呼んであげた。


「国光君、部活行かなきゃだめだよ。」
「じゃなくて、呼び捨てで。」


もういい加減にしてくれないかなこの子。こっちは書類とかいろいろやんなきゃいけない事いっぱいあるんだってば。


「だから手伝ってやるって言ってるだろ?」
「生徒に手伝わせるなんて出来ない」
「担任はやってた」


嘘、ホントに?吃驚して顔を上げると目の前に彼の顔。


「ホント。だから俺にも手伝わせろ、name」
「な!」
「はは、顔真っ赤。」


可愛いな、先生。なんてふざけた事を言う生徒をブン殴りたくなってきた。殴っても許されないかな?

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