丸井
「お前さ、将来何になるとか決めてる?」
「…何?いきなり。」
「俺、正義のヒーローとかになりてーな…」
隣の席の彼がこんな事を言ってきました。暑さで頭が逝ってしまったのかと心配になるから、そう言う冗談は言わないでおこうね、ブン太君。
「じゃなくて、俺は真面目に聞いてんの!」
「それはそれで心配なんだけど。」
「でさ、夢、ある?」
なんでいきなりそんな事聞いたりするんだろうかと本当に心配になる。彼は何か思いつめているんだろうか。だからこんな事を聞いてきたりするんだろうか。
「言っとくけど頭が可笑しくなったとか精神的ななんかでこういう事聞いてるんじゃねーから。」
「あ、そう。」
ホッとしたようなホッとしていな様な。そんな複雑な心境に陥りながら考えを巡らす。
「なりたいものなんて無いんだけど。」
「夢ねーな。」
「高校生になってまで正義のヒーローなんて言う奴よりはマシだと思うよ」
るっせ。とつまらなそうにガムを膨らます彼。本当何がしたかったんだろう。
「あ、じゃあさ」
「何?」
「俺、お前と結婚すること夢にするわ。」
「…何それプロポーズ?」
じゃね?なんて他人事のようにさらりと言いのける彼をよそに私の顔は赤く染まっていた。てか此処は呆れる場面じゃないの?私。
「だからさ、お前の夢は俺のお嫁さんになるって事で。」
なんて横暴なんだろう。でも嫌じゃないのはきっと私が彼と同じ夢を見始めているからなのかな。あーあ、さっきの丸井の事言えなくなっちゃったじゃん。この夢もなかなか恥ずかしい夢だ。
見事に射抜かれてしまいました
(言ってる事無茶苦茶なんだけど)
(悪くないなんて思ってしまう。)