※幼なじみ










「やぁ、柳くん、ごきげんよう」
「あぁごきげんよう、そしてさようなら」
「ちょ、ちょ、待って待って!」
「一体なんの用だ?こんな休日の朝っぱらから人の家に押し掛けるなんてよっぽどの暇人なんだな、可哀想に。そんなお前にコレをやろう。ほら、ドラ●エ1だ。結構レアなんだから大切にしろよ。じゃあな。」
「えぇ!!ちょっと待ちたまえよ、蓮二君!久々に会いに来た幼なじみにその扱いは酷すぎると私は思うよ!大体、暇だからって蓮二君に会いに来る訳じゃないんだからね!会いたいって思って来てるんだよ!それに私がド●クエを全制覇しているのを知らないわけじゃないだろう?しかも1って一瞬で終わるじゃないか、嫌がらせなのかそれは!」
「相変わらずの饒舌っぷりだな、読者もがっかりだ。」
「多分蓮二も同じだと思うよ」


ほっておけ、と自分で言い出した事なのに、そんな風な言い方をする蓮二君がおもしろくて思わず鼻で笑ってしまったら頭を殴られた。しかも結構な強さだ。これで私の脳細胞は幾らか死滅してしまったであろう。コレは責任を持って私と結婚前提のお付きあいをしなければならないと思うよ。


「死ね」
「ちょ、酷いんですけど。会う度に鬼畜系男子へと進化を遂げているんですけど。」
「文句なら精市に言え」
「他人の影響で鬼畜になってしまうなんて中二病かい、君は」
「黙れ馬鹿。大体お前こそその口調止めろ。中学の時に変わったきり治って無いだろう」
「そうだね、さしずめ私も君と同じ中二病って所かな。お揃いだね、私は嬉しいよ」
「もう一度言おう。帰れ、そして死ね」


全く彼はとんだ鬼畜系になってしまったらしい。今度あったら手土産と一緒に精くんに頼んでおこう。これ以上蓮二君を鬼畜にしないでくださいって。多分踏まれて終わるだろうが。


「…で、何故帰れと言ったのに家に入り込んでいるんだ」
「これぞ名無しクオリティー」
「本当に死んでくれ」
「まぁまぁ、で、君の部屋は何処にあるんだい?」
「は、?」
「いや、折角だから私が香りを堪能しようかなって」
「意味が分からない上に気持ちが悪い」
「どっこかなー、部屋の場所変わってないー?」
「待て、本当に、部屋には入るな!」


急に慌て出した蓮二君を見て何だか楽しくなってきた。みんな私をMだのなんだと言うが、私自身はドSだと思っている。


「聞いてない、良いから帰れ」
「なんで?」
「なんでって、良いから」
「理由は言えないのかい?参謀、柳蓮二が答えられない事があるなんて、ちゃんちゃら可笑しいね」
「黙れ、馬鹿」
「口先だけは減らないんだね…全く、一体何を隠してるんだい?」


ピッタリと彼に体を寄せてドアを開けようと心見るも、彼はぴくりと体を震わせるだけで扉の前から動こうとはしなかった。もう、相変わらずの頑固者だかな、何とかならないのかい?


「名無し、離れろっ」
「何でだい?」
「いいから…」
「蓮二君、」
「……っ……」
「心拍数が異常に上がっているけど…」


お前のせいだろ!!と、大きな声で言われた私はかなり吃驚している。蓮二君、本当に何をそんなに慌ててるんだい。


「お前が、いきなりくるから…」
「は?」
「だいぶ、焦っていた」
「え」
「お前のせいだ、馬鹿」


何だろうか、コレは。告白?じゃないかな。何なんだ。こんな投げやりな告白初めてだよ、蓮二君。


「立海にいた時からモテてなんか居なかっただろう」
「残念、最近モテるんですよ、顔に釣られる男子に」
「知らなかったな、それは。……妬ける」
「蓮二君?」


甘い匂いがする、そういって抱き締めて来る蓮二君に目を白黒させるばかりである。あ、あの、蓮二君。どう言うこと。


「知らん」
「本当に君はドSだな」
「お前だろう、それは」
「えぇ、なんで」
「良く言う。いきなり外部受験して違う高校に行って。会うの一年ぶりだぞ、冗談も大概にしろ。」


顔をしかめて耳にタコな文句を言い出した蓮二君を止める為、口を押し付けて封じてやった。またもや体を震わせた彼に内心、ざまぁとか思っていたが、そんな事は言っていられないようだ。本気になってしまったのか彼は舌を忍ばせてきた。なんてこった。もう主導権を取られてしまった。


最上の媚薬はあでやかに


(君の久々の香りに)
(酔ってしまったようだ)



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