その7 [ 7/14 ]

教えて貰いましょう。


この間のお弁当のお礼に蓮二君に勉強を教えて貰う事になりました。
とは言え、立海テニス部レギュラーの面々も一緒らしいですけど。さすがに二人っきりでラブラブな感じにはならないですよね、分かってますとも。ちょっと期待しちゃってたりしてたんですけど、そんな事ありえないよね。だってみんないるんだもんな。ちぇ。


「心の声漏れてるぞ」
「え」
「名無しさんってそんな子だったんだ。」
「知らなかったのか?精市」
「ちょ!誤解を与えるような言い方しないでくださいよ!!」


違うんですよ、これは。いつもこんな事考えてる訳じゃないだよ。ほんとです、信じてください幸村君!


「うん、分かった分かった。いつもそんな事考えてるんだね?」
「違うのにー!!」
「名無しうるせーよ!勉強しろよ!」
「うわあ!丸井にそんな事言われた!死にそう!」
「俺どんな存在だよぃ!」


ブタと言う存在、と言いかけたところで丸井の鉄拳が飛んできた。ちょ、私これでも女の子なんだけど。涙目になりながらジャッカル君の後ろに逃げるとお決まりの「俺かよ!」と言うセリフを言ってくれた。


「1秒以内にジャッカルの後ろから離れろぃ!じゃねーとぶつぜ!ジャッカルを!」
「俺かよ!つーかとばっちりじゃねーか!」
「ジャッカル君ごめん!」
「苗字ー!?お前、離れろ!」
「えぇい、五月蝿い!静かにせんか!」
「副部長の方が数倍うるさいっすよ」
「なんだと赤也ぁぁ!!」
「うわわ、すんません!先輩!」


口を滑らした切原君に馬乗りになった真田君に笑いながらGOサインを出す幸村君に少し恐怖を感じたのは内緒だ。


「いい加減にしないか、君たちは一体何をしにここに来たんですか!」
「柳生の言うとおりだ。いい加減にしないと姉さんが怒る。」


と言う事で十何分前からカリカリと言う音がリズミカルに聞こえている訳だが、実際音がしているのは柳君と真田君、それから柳生君と幸村君、ジャッカル君の5人だ。主にやるときはしっかりやる人のみちゃんとやっていて、他の皆は問題に詰まっていたり、だらだらとしていたり、思い思いの事をしていた。そう言う私もそろそろ疲れて来たのかなかなか前に進めなくなってきていた。どうやってもこの数式が解けない。どうなってんの、これ。


「どうした、名無し」
「あ、蓮二君。ちょっと、この問題分からなくて…」
「これか?」
「そうです、これ、どうやって解いたらいいんですかね?」
「これはこの方程式を使うんだ。方程式が違うんだから解ける訳無いだろう。」


あ、そっちか。なんて声をこぼせば、馬鹿、と言って頭を小突かれた。ちょ、今の仕草かなりグッときちゃったんですけど蓮二君。


「おーおー、見せつけてくれるのぉ。参謀」
「室温上がるから止めろよぃ、そう言う事すんの」
「先輩たちラブラブっすねー」
「え、お前ら付き合ってんのか!?」
「断じて違う。」


ちょ、そんな力いっぱい、しかも即答で答えられるとショックなんですけど。そう言うと、蓮二君はその答えが返ってくる事を予想していたのか、真顔で、誤解だけは何としても避けたいからな。…っていくらなんでも扱い酷過ぎると思うんですけどー…。と呆然としているといきなり柳生君が顔を真っ赤にしながらメガネを上げる。


「や、柳君、あくまで私たちは学生ですから節度ある、」
「やーぎゅ、今のは別にふだらしな事してないじゃろ」
「…柳生、蓮二の話を聞いていなかったのか?」
「真田に言われちゃおしまいだぜぃ?柳生。」
「丸井、それはそういう事だ?」


何でも無いでーす。とジャッカル君の後ろに隠れる丸井。それを鬼のような形相で見ているのはもちろん真田君。やれやれ、と言って様に肩を下ろした幸村君は蓮二君に向かって、お茶にしよう。と言いだした。一体何を言い出すんだとボケッとしていると、蓮二君が真田君を宥め、丸井はお菓子も方に興味が言ってしまったのか、一時休戦となったようだった。凄いなぁ、幸村君。


「これくらい出来なきゃ部長なんて出来ないよ。」
「だな。さて、お茶を持ってくるとしようか。」
「あ、私も手伝います!」
「…精市、」
「彼女に頼んだら?」
「…分かった、名無し、こっちだ。」


溜め息をつきながら前を行く蓮二君について行きながら幸村君をみると、ピースをしながら頑張れ、と口パクで言ってくれた。幸村君、どんだけいい人なんですか…!!


「ありがとう…!」
「なに独り言を言っているんだ、名無し。」
「なんでも!」


…嬉しそうだな。と、どうでも良さそうに言い放ちながらお菓子を用意していく蓮二君は。え、なんか急にそっけなくなって無いですか。


「知らないな」
「なんですかー、気になるじゃないですか!」
「…話しは変わるが、」
「ちょ、変えないでくださいよ!」
「なぜ、俺に対してのみ敬語で話す?」


無視ですかー…。しかも質問の答えになって無いし。まぁいいか。


「あー…なんでしょう?癖ですよ、多分」
「そうか。」
「嫌でした?」
「別に。ただ、」
「ただ?」


…やっぱり教えない



(えー!)
(五月蝿い、黙れ)
((そこまで引っ張っといて教えないとか鬼畜過ぎる…!))


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