その6 [ 6/14 ]

お弁当を食べましょう。



お弁当を取り出してから気がついた。そう言えば蓮二君さっきご飯食べたって言ってなかったっけ?と言えば蓮二君はお弁当を受け取りながらああ、と呟き


「ご飯食べたって嘘だ」


なんてさらりと言う。どんな嘘ですか、それ。と思っていればいきなり手首を掴まれこっちだ、なんてずるずると引っぱられました。すっごく嬉しいんですけど若干痛いです。手首が。蓮二君力入れすぎだよ。私こんなんでも女の子ですよ、ねぇ聞いてます?て言うかガチで痛いんですけど!ちょ…折れる…!


「そんな訳無いだろう。大げさだ。」
「いや、結構痛かったです、本当に!」
「分かった分かった、ごめんな。」


軽!!尚且つ適当!!なんか最近蓮二君が前よりずっと冷たい気がします。親しい人にはこうなんでしょうか?だったら許せるよ、ばっちこい。


「気持ちが悪い」
「蓮二君ってSですよね」
「名無し、本当に気持ち悪いぞ」
「酷い…。蓮二君もう少し私を労わって下さいよー」


名無しなんかいたわる価値が無いだろう、とお弁当を食べて行く蓮二君。本当Sだなー。私別にS好きじゃないんですけど。


「名無しの好みなんて知るか」
「…ですよねー」


もう何回目の下りだこれ。なんか会うたびにこのやりとりをしている気がする。まぁいいけど、と蓮二君の方を見れば両手を合わせてごちそうさま、と言っていた。礼儀正しいなぁ、蓮二君は。お粗末さまです、と返しながらお弁当を片付けていると何か視線を感じたので顔を上げてみた。犯人は蓮二君だったようで、私の方を見ていた。まぁ蓮二君じゃなかったら怖いけど、蓮二君に見つめられるのもなんだか違った意味で怖い。


「な、なんですか?」
「いや?データ通り名無しは外見に似合わず意外に料理上手なんだな、と。」
「…なんか引っかかる言い方ですね」
「わざとだ」
「立ち悪いです」


顔が赤い、と笑われ睨み返せばもっと笑われてしまった。蓮二君がいきなり褒めるからでしょ。アレか、蓮二君Sじゃ無くてツンデレか。そうかそうか。でもどっちにしろ私タイプじゃないです。


なのにどうしてこんなに好きなんだろう



(それはきっと蓮二君だから、)
(なんだろうな。)


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